富山で専門家講演
 昨年、県内でツキノワグマが大量出没したことを受け、県自然博物園ねいの里(富山市婦中町吉住)は11日、同園で市民らを招いたクマ対策について考える講演会を初めて開いた。県内の専門家が意見を交わし、クマの餌となるカキの実がなる木の撤去について、行政の支援の必要性を訴えた。
 県内で昨年、クマによる人身被害を受けた人数は全国の都道府県で最多の20人。統計を開始した2004年以降、2番目に多く、クマとその痕跡の目撃数も919件と過去3番目の多さだった。
 講演会では、クマによる人身被害や予防策などについて、専門家4人が訪れた約50人に向けてそれぞれの意見を紹介した。
 ねいの里職員の赤座久明さん(66)は昨秋、クマの大量出没を見越して、自身が自治会長を務める山間部の富山市庵谷地区で、カキの木を町内会で協力して伐採したことを紹介。町内会費から日当約14万円を捻出し、地区にあった78本を伐採したところ、隣の楡原地区では目撃数が32件あったのに対し、庵谷ではゼロ件だった成果を報告した。
 カキの木の撤去は有効な手段と話した一方で、こうした活動は地区によっては理解が得られず滞ったり、体力や金銭面などを理由にされなくなる場合も指摘。被害を止めるために「全ての自治会で同じことができるとは言えず、公的な支援が必要になってくる」とクマ対策に行政支援の拡充を求めていた。
 また、昨年はクマの餌になる山中のドングリの結実予測で、凶作が見込まれたため人里への大量出没は予想できていたという。「クマの被害は自然災害と同じで防ぐことができる。そうした予測を活用してほしい」とも訴えていた。 (向川原悠吾)