生花店に花瓶を持参すると毎日でも花を交換してもらえる定額サービス「魔法の花瓶」が、県内の一部の店で始まった。県は花き出荷額で全国一を誇るが、消費額は全国的に減少傾向で生花店離れが進む。関係者は、定額サービスをきっかけに気軽に店を訪れる消費者が増えるよう期待している。
 このサービスは名古屋市瑞穂区で「花のみせ美里」を経営する櫛田篤弘さん(52)が、生花の販売管理システム会社などと考案。昨年十二月にスタートし、県内では「花のみせ美里」と豊橋市の「花は花一」、豊川市の「花幸」、名古屋市中区の「花年」の四店が導入した。全国では約六十店が参加している。
 「花のみせ美里」では、三カ月分で三千円の料金を支払うと高さ十センチほどの花瓶がもらえ、店を訪れればバラやガーベラ、カーネーションなどの小さな花束と毎日交換できる。櫛田さんは「定額サービスだけでは採算は厳しいが、広告宣伝費と考えている」と話す。
 導入の背景には生花店離れがある。農林水産省によると、切り花の世帯当たり年間購入額は全国平均で一九九五年の一万二千八百二十二円から、二〇一八年は八千二百五十五円に減少。世帯主の年齢別では三十代が二千四百六円と、若年層で特に低調となっている。
 「単なる消費の低迷ではなく、花を身近に取り入れる文化の低迷だ」と櫛田さん。生け花教室などが盛んだった昭和に比べ、近年は花を飾る習慣自体が廃れつつあることに危機感を募らせる。これまでもプロのデザイナーが簡単な花の生け方を動画で紹介するアプリ「フラレピ」の運営会社を共同出資で設立するなど、花離れに歯止めをかける取り組みに力を入れてきた。
 新たに定額サービスが加わったことで「店を訪れやすくして、花の癒やしを多くの人に体験してもらいたい」と、花き生産の盛んな愛知から、花の活用を積極的に提案していく考えだ。
 県内の花き出荷額 2018年は543億円で全国の17・4%を占め、1962年以来、日本一を続けている。特に渥美半島など東三河地方で生産が盛んで、キクやバラ、洋ランなどで知られる。
 (立石智保)