豊田市旭地区の池島町の県道355号から、脇道を一キロほど上った山あいの古民家で、創作料理や中国家庭料理を提供する「池島五組 厨房168(ちゅうぼういろは)」が営業している。名古屋市中区から移住した王陽花さん(36)と母道子さん(61)が空き家を住居兼店舗に改修し、店を開いて約四カ月。地元住民らが気軽に立ち寄り、食事を楽しむスポットになっている。
 一八九六(明治二十九)年築の木造平屋建ての古民家を改築した店内には、知人に手作りしてもらった木製のテーブルやイスが並ぶ。どこか懐かしげで落ち着く感じだ。二人は約二年前に豊田市の空き家バンク制度を使って移住してきた。
 陽花さんは浜松市の電子楽器メーカーやアパレル企業などで働いたが、都市部の生活や企業勤めが合わず、いったん名古屋へ。「自分のままで生きられる場所を探そう」と二〇一五年ごろから移住先を探し始めたという。
 インターネットサイトを通じて、池島町の古民家を見つけた。十年以上人が住んでおらず、家屋も庭も荒れてすぐには住めない状態だったが、道子さんは「坂を上ってきた時にすてきだと気に入った」と購入を決めた。
 地域の人の力を借りながら、住宅部分のリフォームを終え、一八年二月に移り住んだ。広東料理の一流シェフだった父の背中を見て育った陽花さんは食べることや料理が好きだったことから、移住と同時に、店を開くことも決めた。
 祭りや草刈り作業などの行事に積極的に参加するうち、地域の人ともうち解けた。陽花さんは「人と人の距離が近くて居心地がいい」と喜ぶ。
 「毎日誰かしらが来て、話ができる。地元の人たちが『料理に使って』と野菜を持ってきてくれる」と陽花さん。日替わりのランチメニューを紹介するホワイトボードには、米や野菜を提供した人の名前が添えられる。ちょっとした気遣いに「地域に根差したお店にしたい」という二人の思いが表れている。
 営業は金曜から月曜の午前十時〜午後八時。(問)厨房168=0565(77)8967
 (生津千里)