カラ出張を認め、十二日に辞職会見を開いた石川与三吉(よそきち)県議。「事務所の八十歳代の男性職員が勝手に出張報告書を作った」と主張したが、男性職員側は取材に「勝手に作ることはない」と真っ向から否定。全国の都道府県議会で最高齢だった県議の終幕に、後味の悪さが残った。
 「カラ出張を認めるのか?そうなります」。石川氏は県議会議事堂の会見で、建設会社「塩浜工業」(敦賀市)が全国で請け負っていた工事現場に四年間で四十四回視察に行った事実は「ほとんどない」とあっさりと認めた。ただ、県議会局に出張旅費を政務活動費で請求する報告書が提出されていたとは知らなかったとした。事務所の男性職員の独断だったとし「信頼し過ぎていた」「私は被害者です」と述べた。調査を進め、男性職員に対する刑事手続きに入る構えすら見せた。
 だが、男性職員は会見後の取材に「勝手に報告なんてできる訳がない。不本意で心外だ」と憤った。報告書には一件一件、塩浜工業の現場担当者の名刺と工事風景の写真が添付されていたが、「受け取った名刺と写真を添付しただけだ。私は塩浜工業の誰も知らない」とし、石川氏の指示と断言した。
 会見は二時間に及んだ。「耳が遠い」として、記者の質問と石川氏の回答が何度も食い違った。
 石川氏の辞職願を受理した田中宏典議長は「十分に精査できていないところがある。調査が出たら県議会に報告してもらいたい」とし、石川氏が所属していた最大会派・県会自民党の田中敏幸会長は「説明できないから辞めたのだろう。仕方ない。二転三転する部分がある」と話した。
 (尾嶋隆宏、高野正憲、山本洋児)
◆地元・敦賀、怒りの声
 石川県議の選出区の敦賀市では、怒りの声が上がった。
 石川県議の地元の西浦地区では、元白木区長で後援会役員、橋本昭三さん(91)が「こういう問題があるとは夢にも思わなかった」と憤った。塩浜工業との関係やカラ出張については全く聞いたことがないとし、「敦賀半島の原子力の問題や道路のことで地元のために一生懸命やってくれたと思うが、こんなことになるとは」と肩を落とした。
 敦賀市相生町の事務所では、会見の三時間前に石川県議の名前が書かれた看板が撤去された。取り外す作業をしていた事務所の男性(82)は「本人から外すように指示されただけ」と言葉少な。会見後、後援会の堤利市事務局長(70)は「辞職は支援した者として残念だが、仕方がないと思う。ただ会見の内容は、責任転嫁するようで不本意だ」と不満を口にした。
 敦賀市議の一人は「市にとって恥ずかしいのひと言」と切り捨てた。七十代の飲食業の女性は「優しい人だったのに、まさかこんなことになるとは」と嘆き、五十代の男性会社員は「かなりの高齢でそこまで続けるのはどうなのかと思っていた。こういう人を選んだ有権者にも責任があるのでは」と話した。
 (高野正憲、大串真理)
◆補選は行わず
 石川氏の辞職を受けても県議選敦賀市選挙区(定数三)の補選は行われない。
 公選法によると、県議補選は、選挙区で二人以上の欠員が生じた場合に実施される。ただ定数一の選挙区では、欠員一人で補選が行われる。