江戸時代の松本城一帯を描いた絵図が、松本市教委へ寄贈された。本丸御殿や城郭内の建物が立体的に描かれ、水色や茶色に彩色されているのが特徴。松本城管理事務所は「これまで確認されていない絵図で、大変貴重な史料となる」と話している。
 寄贈したのはフィンランド人医師のヤニ・アントラさん。アントラさんは日本の建築や古民家再生に興味を持ち、二〇一二年に生坂村の古民家を購入。蔵から絵図を発見して昨年十一月下旬に市教委へ寄付を打診していた。絵図は「信州松本城絵図」で、大きさは百九十八センチ×百八十九センチ。同事務所の南山孝研究専門員によると、描き方の特徴のほか、町や河川の名称、絵図の隅に「信州松本城画図(えず) 水野出羽守」と記されることなどから、松本藩主の水野家第二代忠職(ただもと)(一六四七〜六八年に在任)の時代に製作されたと推測される。
 中央に配置された松本城は、天守や黒門の屋根が水色、本丸御殿の屋根が茶色にそれぞれ彩色され、建物や石垣が立体的に描かれる。南山さんによると、彩色された松本城の絵図は今までに見つかっておらず、立体的な表現もなかった。また堀の水深や幅、石垣や土塁の高さが絵図に細かく書き込まれていることも珍しいという。
 江戸幕府は一六四四年、諸国の大名に国絵図や城絵図の作成を命じている。市教委では「信州松本城絵図」が幕府が命じた絵図かどうかを含めて研究していく。
 絵図は同事務所で保管し市立博物館での展示も検討している。ただ折り目の破損など保存状態は悪いという。同事務所の原文彦課長は「市民に松本城へ一層の興味を持ってもらうためにも公開は必要。デジタル化など公開方法を研究していきたい」としている。
 (大塚涼矢)