南知多町の篠島で、県内で初めてカキの養殖が本格的に始まった。若者の流出が続く島に活気を戻そうと、島の漁師が始めてほぼ5年。ようやく軌道に乗り始め、旅館での提供や出荷ができるようになった。16日には「篠島 牡蠣(かき)祭り」が開かれ、観光客らにカキが振る舞われる。
 篠島港内の陸からすぐ見える海上に、いかだが九枚ぷかぷかと浮かぶ。つるされているのは、来年用の稚貝約十五万個。今は二グループが取り組む養殖を、始めたのは島の漁師、新美大二郎さん(37)だった。
 篠島は漁港単位でシラスの漁獲量が日本一だが、冬季は漁ができない。近年は環境変化の影響で、ワカメなどの海藻が採れる期間も短くなっているという。
 そこで目を付けたのが、県内では行われていないカキの養殖。新規事業を模索しようと、五年前にムール貝やカキの養殖に取り組んでいる長崎県五島列島を訪れたところ、勧められたという。
 カキの稚貝をもらったものの、新美さんら篠島の漁師は素人。兵庫県など全国各地の養殖場からノウハウを学びながら養殖を始めた。広島県や宮城県など試した稚貝は数種類。港内で稚貝を一年ほどいかだにつるした後、外洋に移して栄養を蓄えさせるため、場所を何度も変えながら最適地を探し続けた。
 思うように成長しなかったり死んでしまったりしたことも。それでも成果は次第に実り、昨冬から島内の旅館などで少しずつ提供できるようになり、今冬ようやく祭りを開いて大々的にPRできるまでになった。
 篠島カキは、磯臭さが少ないのが特徴で、苦手な人でも食べやすいという。「カキの知識はまだ二割程度。これからも全国各地の養殖場へ行ってもっと学びたい」と新美さん。「カキが食べられる店を増やし、若い人たちが働ける場も増やしていきたい」と意欲を見せた。
 「牡蠣祭り」は篠島港周辺で午前九時〜正午。(問)篠島観光協会=0569(67)3700
 (鈴木佐歩)