金沢の女性 農水省コンテスト入賞
 あらゆる動物性食品を避ける「ビーガン」(完全菜食主義者)向け料理の普及に取り組む女性が金沢市にいる。料理研究家の沢野亜伊子さん(30)。石川県羽咋市産の自然栽培の玄米や調味料を使った野菜寿司(ずし)は、地域の食材や食文化を生かした優良産品を表彰する農林水産省の「フード・アクション・ニッポン アワード2019」で入賞した。食の多様化が進む中で、安全意識を高めてもらおうと生産者と連携し、食材の産地を訪ねるツアーも企画している。(瀬戸勝之)
 赤ピーマンをローストした「マグロ」、タピオカをしょうゆ漬けした「イクラ」、おからコンニャクをかば焼きにした「ウナギ」−。彩り豊かなにぎり寿司はネタの質感にもこだわり、本物と見まごうほどだ。
 ビーガン料理は肉や魚だけでなく、動物由来の乳製品や卵も使わない。入賞作の「自然栽培野菜寿司」は食材も厳選。無農薬・無肥料の自然栽培を手掛ける羽咋市内の生産者から仕入れた玄米や野菜などを使い、創意工夫を重ねた。
 米サンフランシスコのフードショーで野菜寿司をPRしたり、自然栽培のイベントで講義をしたりした経験も。熱心な活動ぶりが評価され二〇一八年、一九年と二年連続で菜食振興に関する表彰「日本ベジタリアンアワード」にもノミネートされている。
 沢野さんは、北陸学院大短期大学部で栄養士の免許を取得後、農業を学びながら金沢市内のベジタリアンレストランで調理などを担当した。一四年五月にカナダに渡り、ビーガンやベジタリアン向けの料理教室を主宰。帰国後は東京都内に拠点を移した。
 その後、金沢市に戻り、一九年春から定期的に教室を開いている。人気メニューは寿司のほか、大豆から作った「ソイミート」のハンバーグ、湯葉を使ったオムライス、野菜だしのラーメンなど。他にインドカレーやメキシコ料理と多彩にそろえる。
 見た目も華やかなこれらのオリジナルメニューは欧米からの観光客らにも好評で、「自分の国でもぜひ教室を開いて」と依頼を受けることも。現在、新たに家庭や職場に料理を配達するケータリングサービスを始める準備を進めている。
 この他、ビーガン料理を楽しんだり、自然栽培の産地を訪ねたりするツアーを羽咋市の生産者らとともに企画中。国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標「すべての人に健康と福祉を」なども理念に掲げる。
 沢野さんは「環境問題への意識の高まりからビーガンは世界的に増えてきているが、国内ではまだマイナーな存在。さまざまな活動を通じて理解を広めていきたい」と意気込んでいる。