甲賀市水口町で毎年四月十九、二十の両日開かれる県指定無形民俗文化財「水口曳山(ひきやま)まつり」の十六ある曳山の一つ、天神町曳山の見送り幕(市指定文化財)が復元新調され、十四日に関係者へ披露された。
 見送り幕は巡行の際、曳山の背後につるして彩る幕。天神町の幕は経年劣化が激しく、県六割、市二割の補助を受け、二年間で約一千万円を投じて新調した。調査の過程で、旧幕は一八四五(弘化二)年に最初に仕立て直されており、遅くとも江戸時代後期から用いられてきたことが分かった。
 全体は幅一・八メートル、高さ三メートル、本地は幅一・二メートル、高さ二メートル。白い下地は縦糸にも横糸にも綿糸を使ったつづれ織りで、不老長寿を祝う「寿老人八仙人図」の色鮮やかな刺しゅうが絹糸で施されている。
 新しい幕は専門家らの監修のもと、旧幕の寸法や素材、風合いに忠実に、龍村美術織物(京都市西京区)が制作を手掛けた。
 水口図書館であったお披露目式には、天神町や県教委、市教委の関係者ら四十人が出席。新旧の幕が並べられ、天神町の松村和徳町代(53)が「文化財としての価値を守りつつ、将来を考えるのは大変だが、町内一丸となって新しい見送り幕を大切にしていきたい」とあいさつした。
 調査に携わった曳山保存修理委員で、西陣織物館顧問の藤井健三さん(73)=京都府宇治市=は「京都に伝わる朝鮮毛綴(つづ)れの一例と考えられているが、細部では他に類例がなく貴重」と解説した。
 この後、併設の水口歴史民俗資料館に展示されている天神町の曳山に、新幕を試し付けした。

 (築山栄太郎)