新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中止となった選抜高校野球大会。準優勝した昨夏に続く星稜(金沢市)の五季連続の甲子園出場も、幻となった。昨夏の先発メンバーで、今月卒業した大高正寛さん(18)は後輩を思いやりつつ、エールを送る。「次の夏、絶対甲子園に行って日本一を取るんだという気持ちはどこにも負けていないはず。後輩たちならやってくれる」(小坂亮太)
 「モチベーション、どうしたらいいですか」。十一日に中止が発表された直後。複数の部員から、大高さんの携帯電話に戸惑いのメッセージが届いた。
 「自分がその立場だったらと思うと、本当に言葉が出なくて」。この冬、後輩が自分たちで工夫をしながら練習に励む姿も見てきた。「夏まで気持ちを切らすなよ」。そう返信するのが精いっぱいだった。
 大高さんは昨春の選抜で初めて、憧れだった甲子園の土を踏んだ。どの球場とも違う雰囲気、大観衆…。開会式で入場行進をしながら、感動で涙が出そうになったことを覚えている。
 選抜では出場機会がないまま、二回戦で敗退。「次は打席に立ちたい」。甲子園の記憶と悔しさが、目標へ向かう力に変わった。夏の選手権は一回戦から決勝まで全六試合に先発出場し、打率4割7分8厘の大活躍。本塁打も放った。腐らず夜遅くまでバットを振り続けた日々の成果だった。
 「今までの努力が全て報われたと感じられるのが甲子園」。その経験があるからこそ「あの雰囲気を味わうことが力になる。今回出場するはずだった高校には、その機会を与えてあげてほしい」と願う。
 自身は今、進学先の筑波大で硬式野球部の練習に参加し、練習試合にも出場している。星稜の部員から今も助言を求められるため「見合った選手にならないと示しがつかない」と、後輩の頑張りを励みにレギュラー獲得を目指している。
 星稜の選手たちは、自粛していた部活動を二十一日に再開する。大高さんは「選手はもう一度甲子園の決勝に立ちたい、景色を味わいたいと思っているはず。悔しさをばねに、全員が目指す目標、方向を再確認し、これからの練習に励んでほしい」と奮起を促した。