人口2万人にも満たない太平洋の島国、パラオと県は友好提携を結んでいる。パラオは、提携25年の節目となる来年に志摩市で開かれる太平洋・島サミットの参加国でもある。そんな両者の現在のつながりを3回にわたって紹介する。
 鳥羽水族館(鳥羽市)の企画広報室部長、杉本幹さん(59)は一月から、独立行政法人国際協力機構(JICA)の海外協力隊員として、パラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)付属の水族館で、アドバイザーを務める。任期は二年。「厳しい環境でチャレンジしたかった」と新天地で汗を流している。
 PICRC付属水族館のイレブラン・オルゲリール館長(41)によると、館には観光客や地元の小学生など年間約六千人が訪れる。一方で飼育員は三人しかおらず、水槽は屋内外で大小合わせて十七個のみ。飼育する生き物はパラオオウムガイやテッポウウオなど現地に生息する八十種七百匹ほどで、海獣類はいない。鳥羽水族館の年間入場者数約八十三万人・飼育数約千二百種類に比べれば、かなり小規模な水族館であることが分かる。
 杉本さんの仕事は、鳥羽水族館での経験を生かし、飼育展示のノウハウなどを伝えること。さらには、年間十万人以上という観光客を見越して、集客数を増やすことだ。しかし「自分としたら当たり前のことでも、ここでは『そんなこと考えつかなかった』と言われることがある」と戸惑いを隠せない。
 例えば、飼育員らは館内の飼育種類数を把握していなかった。先述の数字は杉本さんが数えたものだ。展示の目玉となりうる館内最大の飼育動物であるタイマイとアオウミガメの二匹には愛称もついていない。
 網を使って魚などを捕獲する資格があるのは国内でも飼育員などに限られているため、館内の生き物はすべて飼育員が自ら捕ってくるなど、日本では考えられない制約もある。杉本さんは「思い立っても、なかなかすぐには取り組めない。人員の面と、国民性の違いからも時間はかかりそう」と現地での苦労を口にするが「それも覚悟していた」と笑顔を見せる。
 オルゲリール館長は「杉本さんは水槽の掃除方法や魚の餌の作り方を教えてくれて、開設時から二十年近く変わっていなかった展示方法への助言もしてくれる」と二カ月の成果を評価する。ウミガメの愛称募集などに早速、取り組んでいる杉本さんは「地元の子どもたちへの教育施設としては充実しているので、お客さんが楽しむという点でも魅力的な水族館にしたい」と意気込む。
 (高橋信)
 <パラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)付属水族館> 2001年開館したPICRCに付属する、パラオ国内唯一の水族館。五つの展示エリアで、国内で捕獲された魚類やサンゴ、海草などを展示している。鳥羽水族館は17年、PICRCと友好協力協定を結び、現地でのパラオオウムガイの生態調査などを実施している。