各地で新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中、除菌用品の需要が高騰している。小売店の店頭で品物を見かけることはほぼなくなり、「メーカー在庫切れ」と書かれた紙を目にすることもしばしば。製造現場は今どのような状況なのか、除菌液の製造を手がける「キセキ」(阿久比町阿久比駅前)を訪ねた。
 事業所の玄関から会議室まで、至る所に積み上がる段ボール。中身は全て、出荷待ちの除菌液だ。これまで携帯電話事業を主としてきた同社だが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、十三年前から製造、販売してきた除菌液に全国から注文が殺到。浜松市にある工場でも製造し、病院やゴルフ場、映画製作会社から個人まで、各地へフル稼働状態で発送してきた。
 需要に応じるため、関慎也社長(49)は急きょ人を雇い、三倍の人員を確保。除菌液の増産には成功したが、今度は「中身があるのに入れ物がない」状況に陥った。これまで印字した状態で印刷会社から仕入れてきた容器は、二月末から従来通りの製品が入手困難。関社長は「白い容器が透明、長かったノズルは短くなるなど、仕様の変更を余儀なくされた」と話す。
 さらに、二十リットル入りタンクの蛇口部分に取り付ける「コック」が一万個不足。関社長自らインターネットショッピングにアクセスし、通常仕入れ時の一・五倍の値段で何とか千個を調達した。ただ「追加で注文しようとしたらすでに売り切れ」ており、コックを除くタンク本体など九千セットが出荷できず倉庫で眠ったままの状態だ。印刷会社から仕入れる容器も今月分の納品は十日までで終わり、次回は四月中旬。容器不足が原因で、今後は予約注文とせざるを得ないかも、と頭を悩ませる。
 現在の出荷数は一日最大で二百件。関社長は「一日も早く届けるのが使命。ただ、容器問屋の『次回入荷する個数は分からない』という話も聞く。何とかして、どれだけ注文が来てもいいような体制を一刻も早く整えたい」と話していた。
 (高田みのり)