新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、織物の産地である一宮市の生地販売会社が高い品質で知られる「尾州ブランド」の布を使ってマスクを作ってもらおうと動きだしている。生地は、多様な布を取りそろえる一宮市栄四の「リテイル」で販売。難局を逆手に取り「コロナ対策にも、地産地消で対応してほしい」と呼び掛けている。
 リテイルは、市内の複数の繊維会社が出資した生地販売会社。旧尾西繊維協会ビルを借りて、布のサンプルを販売したり、展示企画をしたりしている。
 地元の生地をマスクに活用しようと考えたのは、繊維会社のパート従業員、森理衣美さん(39)が、尾州生地を取り入れたマスクを手作りしたのがきっかけ。「せっかく産地にいるのだから、地元の素材でマスクを作りたい」と自分や友人用に製作。そのマスクを見たリテイルの山本浩太郎取締役(58)らが布材の販売を思い付いた。
 リテイルでは新型ウイルスが広がる以前の昨年から、幅一・二メートルのガーゼ一メートル分を三百円で販売。国内で流通するガーゼの大半は輸入品だが、同市千秋町の「千秋織布」が製造する国産の糸にこだわったガーゼを扱っている。
 今回の感染拡大に伴い、二週間ほど前に、手作りマスクのサンプルをガーゼ生地のそばに置いたところ、マスクの作り方を尋ねられたり、購入したりする客が増え始めた。
 リテイルでは四十〜五十社の布サンプルを扱っており、マスクの表面に縫い付ける布も、その場でいろいろ選べる。チェック柄や白いレースなどが人気という。気軽にマスクづくりを楽しんでもらおうと、数量限定で、ガーゼとゴムをセットにしたキットも、二十日から二百円で販売を始めた。
 森さんは「この時期は花粉症でマスク不足に悩んでいる人にもお勧め」とアピール。山本さんは「市販の不織布だと内側が毛羽立ち、かゆくなったり肌荒れしたりすることがある。ガーゼなら体に優しく安心。布マスクは環境にも良い」と勧めている。「親子でおそろいのマスクを手作りすれば絆が深まるかも。暗い雰囲気の中、好きな柄を選んで明るい気持ちになってほしい」と話した。
 (鈴木里奈)