今夏の東京パラリンピックを前に、にわかに注目度が高まるパラスポーツ。県内でも、来年の全国障害者スポーツ大会「三重とこわか大会」に向け、競技の普及・強化が図られてきた。だが、開催まで六百日を切った今、競技間に格差とも言うべき状況が生じている。
 二月下旬、四日市市内の体育館では、下肢などに障がいがある選手が的に向かい矢を放っていた。障がい者アーチェリーの競技団体「シューティングスターズAC」の練習会。この日集まった選手は四人だった。
 障がい者アーチェリーは三重とこわか大会で正式競技として実施される。だが、団体代表の宮本幸夫さん(50)は「自県開催なのに、何人出場させられるかわからない」と焦りを募らせる。
 県内唯一の競技団体として長年、普及に努めてきたが、現在のメンバーは五人。四十万円以上する高価な用具が必要な上、県内には四日市市にしか練習場がないなど競技を巡る環境は厳しく、競技人口は一向に上向いていない。
 ただ、それら以上に宮本さんが「壁」と感じているのは、そもそもの「認知度」の低さや、「機運」が高まるきっかけに恵まれてこなかったことだ。「強化以前に、そもそも競技人口を増やす手だてがない」
 アーチェリーの厳しい現状の一方、県障がい者スポーツ協会によると、二〇一八年、伊勢市で国際大会が開催され、一躍注目を浴びたボッチャは、三重とこわか大会で初の正式種目となることも相まって県内の競技人口は増加傾向にある。もともと認知度の高い車いすバスケットボールなどの団体競技でも、大会に向けてチーム強化が進んでいるという。
 三重とこわか大会では自県開催のため、個人競技の出場枠は通常の約五倍の百五十人になる見込み。競技人口を増やし、出場できるレベルの選手を育成する必要があるが、同協会の前田浩司会長(51)は「パラ競技が盛り上がる裏で、健常者のスポーツと同様に、パラ競技の中でもメジャー競技とマイナー競技に分かれてしまっているのが現状」と説明する。
 来年十月二十三日の開幕まで、残された時間は多くない。前田会長は「現状では、大会に普及や強化が間に合わない競技もあるだろうが、とこわか大会がゴールではない。大会の閉幕をパラ競技の新たなスタートとするためにも、今から地道に競技普及を目指す必要がある」と話した。
 (須江政仁)