◆親子三代 小笠見守り66年
 一九五三年の創刊以来、小笠地域(掛川、菊川、御前崎市)の情報を読者に提供してきた地域紙「郷土新聞」が、今月末で休刊する。地域に光を当て、住民の代弁者としての役割を担ってきたが、発行部数の減少により継続が困難になった。「地域の活性化や世論形成の後押しができなくなり無念」と戸塚猛実代表(59)。二十七日に最終号を発刊し、六十六年余の歴史に幕を閉じる。
 同紙は猛実代表の祖父廉さんが、五三年十一月に創刊。小学校教諭だった廉さんは戦前、学校で平和や民主教育を説いて逮捕された経験を持つ反骨者だった。戦後、地元紙の記者を経て、教諭仲間と一緒に創刊し、父秀雄さんから猛実さんへと家族三代で引き継ぎ、市民目線のニュースを発信し続けてきた。
 創刊時から毎月三、四回発行し、近年は毎週金曜日六ページの紙面を提供してきた。地域の話題や行政課題などを鋭く指摘する社説と風刺画、人物紹介、読者からの投稿や郷土俳壇などで構成。社説と風刺画は、時に厳しく時に地域愛に満ちた内容でファンが多かった。
 最盛期の昭和末期には約一万部を発刊し、スタッフ十一人が編集発行に携わったが、読者の高齢化やネットニュースの隆盛などで部数、スタッフとも半分以下に減り、休刊を決めた。
 これまでの発行累計は三千百四十七号。猛実代表は「読者から『よく書いてくれた』との励ましの声に勇気付けられた。地域とともに歩みながら、住民の代弁者としての意識を強く持っていた」と振り返る。継続を望む愛読者の声もあるが再発行の予定はなく、「これからも何らかの形で、愛すべき郷土を見守り続けたい」と話した。
(夏目貴史)