飛騨市神岡町の旧神岡鉱山で一九六〇〜二〇〇〇年代、劣悪な環境で働いたためじん肺を患ったとして、元作業員と遺族ら八人が、神岡鉱業(飛騨市)と親会社の三井金属(東京)に計二億六千四百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十五日、岐阜地裁で言い渡される。
 二〇一七年に名古屋高裁判決が確定し、企業側に計約三億七千万円の賠償を命じた第一陣に次ぐ訴訟。国の基準によるじん肺認定が有効かどうかと、企業側が粉じん対策をして安全な労働条件を確保していたかの二点が争点となった。
 原告側は第二陣訴訟で、一六年十二月に亡くなった富山市の原告の男性=当時(69)=について、内臓の解剖鑑定書を新たな証拠として提出。「じん肺の病状が認められる」と反論しており、原告側の主張がどこまで認められるかが注目される。
 第二陣の原告は、じん肺法に基づき全員が国にじん肺と認定されている。一方、企業側は国の認定では考慮されないコンピューター断層撮影(CT)診断で病状を調べ直し「じん肺ではない」と主張している。
 第一陣訴訟は〇九年の提訴後、元従業員二十七人と死亡した五人の遺族が、予防措置が不十分だったためじん肺になったとして、三井金属などに損害賠償を求めた。一審岐阜地裁判決は企業側の安全配慮義務違反を認定し、二十八人に計約三億四千万円の支払いを命じた。
 二審名古屋高裁は新たに四人をじん肺と認め、賠償額を増額。一、二審とも請求権の時効(十年)が成立している別の四人は訴えを退けた。最高裁は双方の上告を受理せず、一七年に二審判決が確定した。
 <じん肺> 鉱山での採掘やトンネル工事などで、多量の粉じんを長期間吸い込むことで肺の組織が硬くなり、呼吸困難に陥る病気の総称。初期はほとんど自覚症状がなく、十数年後に発症する場合もある。肺がんなど合併症への対症療法が一般的で、完治しない。じん肺法では地方労働局の医師がエックス線写真などで診断し、国が認定する。症状によって労災保険から療養補償が受けられる。