熊野市の熊野那智黒石協同組合は23日、同市だけで産出され、碁石の黒石やすずり、アクセサリーなどに加工される「那智黒石(なちぐろいし)」が、特許庁の「地域団体商標」に登録されたと発表した。
 地域名と商品名を組み合わせた商標で、ブランド力の強化や模倣品対策に効果が期待される。県内では「松阪牛」や「くわな鋳物」などが登録されており、那智黒石は十六件目。
 熊野市神川町の山あいなどで採掘される那智黒石は、粒子がきめ細かい粘板岩(ねんばんがん)。磨けば磨くほど輝きが増すのが特徴で昔は熊野詣での証しとして拾われた。
 だが、十年以上前から、外国産の偽物がインターネットや商業施設に出回り始めた。組合は保護のため、那智黒石を地域団体商標に登録しようと、二〇一一〜一三年に毎年出願。今回、四回目の出願で登録がかなった。
 市は記念として、同市木本町の観光施設「鬼ケ城センター」に、同市神川町の加工販売業「徳村屋」に委託して作った那智黒石のモニュメントを設置。高さ一・五メートルで、近くの世界遺産「鬼ケ城」の鬼と、イタリア・ローマにある石の彫刻「真実の口」をイメージしており、口の部分に手を入れられる。
 現在、市内の加工業者は七軒で、高齢化と担い手不足が課題。組合の田野栄一理事長(51)は「那智黒石は熊野の伝統産業。広く認知されるよう、実用性のある新たな商品を作っていきたい」と力を込める。
 (木造康博)