新型コロナウイルスの影が市場にも伸びている。市中央卸売市場(福井市大和田一)は業務用を中心に鮮魚や青果の売り上げが伸び悩み、一般開放エリアの「ふくい鮮いちば」もガラガラ。仲卸業者からは早期収束を願う切実な声が上がる。
 水産物卸協同組合の理事長を務める前川敏一さん(56)によると、料理屋や居酒屋の営業自粛で、市場を訪れる買い付け業者の数は激減。ノドグロやアマダイなどの高級魚は半値まで落ちた。自身が経営する水産仲卸「コトブキ水産」も売上額は前年比で七割ほど減少している。前川さんは「買いに来てほしい思いはあるが、三密になってしまうので強くは言えない」と嘆く。
 風評被害に悩まされた時期もある。先月四日、市場関係者のコロナウイルス感染が判明。なじみの業者から「二週間ほど出入りを控えたい」と話があった。「市場は小さな会社の集まり。まん延しているように思われたのかもしれない」と苦笑する。
 野菜や果物を扱う青果部門にも影響が広がる。青果仲卸「大同青果」は居酒屋やレストランに卸す野菜や果物の売り上げが八割以上減少。青果卸売協同組合の理事長を務める同社の吉田敏章社長(60)は「スーパー向けの売り上げは堅調で、損失はカバーできている」としつつ、「給食用をメインにしている業者の中には経営が苦しい所もあると聞く。協力して何とか乗り切りたい」と話す。
 市場内の一般開放エリア「ふくい鮮いちば」は、昼時でも人影はまばら。シャッターの降りた飲食店も目立つ。鮮いちばが所属する関連事業社会代表の太田芳一さん(61)によれば、多くの店が営業を自粛したり、早朝だけの時短営業を行っているという。
 「以前と比べ、客足は三割ほど。競りが終わると朝食を食べに来ていた市場関係者も寄り付かなくなった」と太田さん。現状に焦りはあるものの、打開策は見つからない。「こんな状態は初めて。何とか一人の脱落者も出さずにやっていきたい」と語った。
 (波多野智月)