「日々変化、必要ない」
 新型コロナウイルス感染者のうち入院中の重症患者の現状数を石川県が調査せず、把握していないことが分かった。全国の十三特定警戒都道府県と北陸三県では石川のみ。公表していないのも石川のみ。ほかの自治体は重症化に合わせた病床確保に加え、休業と外出自粛要請の解除に向けたデータとして重視している。石川県は「日々変わる数字を収集する必要はない」と説明した。(辻渕智之)
 石川県は感染判明の発表時点で感染者ごとの症状は簡単に説明している。しかし、その後は重症化したかも含めて症状の変化などについて入院先の医療機関に問い合わせていないことを本紙の取材に認めた。
 理由について県健康福祉部は「日々確認する手間をかけなくても、(重症者の受け入れで逼迫(ひっぱく)しているかどうかは)医療機関とのやりとりの中で把握している」と説明。「いざとなれば県立中央病院や大学病院は重症者の受け入れ要請を断らない」と病床確保に支障は出ていないと強調した。
 ほかの特定警戒都道府県や富山、福井県は重症者の数や感染者が重症化した状況を電話やメールなどで医療機関や保健所に毎日のように照会。ホームページなどで更新掲載するか、メディアに口頭で伝えている。京都府や茨城県の担当者は「病床の調整確保には当然必要な情報」と話す。
 国も、重症者の数や感染者の症状の変化に関する情報提供への協力を都道府県に求めている。「未知のウイルスの実態を解明するためにも有用」(厚生労働省結核感染症課)という。
 大阪府は、休業と外出自粛の解除に向けた独自基準の「大阪モデル」を打ち出した。病床の逼迫状況を可視化できる判断指標として「重症者向け病床の使用率」を挙げ、重症者数や使用できる重症病床数を日々調べて公表している。
 石川県は重症病床の空き数も確認していない。担当者は「コロナ以外の急患も入って変化するため、何床空いているか日々確認するのはあまり意味がない」と説明。病床の使用率や逼迫状況を公表すれば感染リスクを考慮する県民の意識や行動に変化を促すとも期待されるが、「公表が感染者の減少に資するとは考えていない」と答えた。