◇23日 大相撲秋場所11日目(東京・両国国技館)

 11日目を終えて2敗が4人。3敗が3人。4敗はさすがに圏外でしょう。かなり絞られてはきた。

 2敗同士の翔猿と阿武咲の相撲は、若手らしく激しい一番だった。阿武咲が立ち合いから猛然と突っ張りを浴びせる。負けじとばかりに翔猿も応戦。機を見て足を跳ばして蹴返しまでお見舞いする。この奇襲は空を切ったが、すぐに次の手を打つ余裕があるのだから、ただの猿ではない。失礼、人でした。

 翔猿の非凡なところは、小兵にしてはまともに引くところがあまり見られない点。むしろ左四つの動きが速く、差すより右からのおっつけが強い。おそらく、かいな力も強いと思われる。身長175センチだが、体のつくりが頑丈にできている。だから、小兵でも業師には見えない。小さいどころか堂々としているので、とても新入幕には見えない。いかにも相撲を取るのが楽しみに見えるのが頼もしい。気が付けば、2敗で優勝争いのトップを走っている。面白い存在になってきつつある。

 12日目は、これまた好力士の若隆景と対戦する。2敗同士でどちらも勝たせたい一番である。予想はしない方がいいだろう。見てのお楽しみであります。

 照ノ富士は10日目の敗戦を引きずることなく、落ち着いて妙義龍を下して3敗を守った。まだまだ権利は残されている。しかし、12日目に対戦する阿武咲は要注意である。当たりと押しが強いので、引くと失敗する恐れがある。

 正代は高安に多少、てこずったが慎重な相撲で2敗を死守した。本人は優勝は意識していないとコメントしているが、本音はそうではないと思う。先場所も優勝を逃し、かなり残念がっていたのにおかしいではないか。熊本男子らしく、優勝すると宣言すべきだ。ひょっとしたら、13勝2敗の優勝だと大関昇進だってあるかもしれない。それでもその気がないとは言わせない。

 貴景勝は、宝富士戦で腹を打ってしばらく起き上がれなかったが、心配するほどのことではない。皆さん、心配のしすぎです。

 朝乃山は、隠岐の海をいらん物でも放るように投げ飛ばし、本来の強さを見せつけた。欲を言えば、初日からの3連敗は実に痛かった。昔から「親の意見と冷酒は後になって効く」とよく言うが、あの3連敗が今ごろ効いてきた。

 今場所も残すはあと4日。まだ賜杯の行方は絞りきれない。それでは今日はこれで失礼いたしましょう。今夜は少しひんやりしています。久しぶりに外で食事と思いましたが結局、若い者と出前でも取りますか。私はカツ重。若い者は玉子丼を注文しました。こんなもんですよ。

 相撲界に入ったおかげで日本全国のうまい物、珍しい物はたいがいいただきました。今は特別、何かを食べたいという物がありません。強いて言えば、京都・木屋町の「蘭」のサバずしが食べたいです。場所が終わったら行こうかなと思っています。ついでに先斗町あたりをうろついてみたくなりました。ではお休みなさい。

(元横綱)