◇24日 大相撲秋場所12日目(東京・両国国技館)

 初めにお断り致します。私事で恐縮ですが、のっぴきならない用ができましたので、いつもより短くなります。あらかじめご承知お願い申し上げます。

 どうせ大したことを書いているわけでもないので、中にはホッとしたと思われている方もいることと思います。「早く始めろ」と言われそうです。ではお言葉に甘えまして翔猿と若隆景の一戦をビデオテープでもう一度。

 11日目も言いましたが、どちらにも勝たせたい、負けさせたくない一番でした。立ち合い、若隆景が左に変化した。これは全く予想外でした。この変化は翔猿には通じません。相撲勘の鋭い稽古十分の力士には、やってはいけません。これが結局敗因になったようです。体勢を低くした翔猿が右をのぞかせ積極的に攻め続ける。防戦一方の若隆景は回り込むのがやっとのことで、思わず体勢を崩してしまった。その足の乱れを冷静に見抜いた翔猿がタイミング良くはたき込んだ。

 まともに立ち合えばもっと白熱の一番が見られたと思うが、好調若隆景も気持ちの上で圧倒されたのかもしれません。2敗をしっかり守った翔猿の13日目はこれまた絶好調の隆の勝戦。連日会心の相撲が続いて迷いのない隆の勝にどう立ち向かうか翔猿。

 私の予想は残念だが隆の勝有利と出てしまった。今場所の隆の勝はしっかり腰が割れているのでどんな動きにも反応できる。翔猿はおそらく、かく乱戦法に出るものと思うが、その手は「桑名の焼きはまぐり」。急いでいるのにまずいシャレを言っている場合ではないだろう、北の富士。

 それでも勝負は時の運である。もし翔猿にもチャンスがあるとしたら右を差して食い下がると勝機は出てくる。何しろ勝負度胸が良いので、すんなりとは負けないだろう。13日目は私もテレビ解説があるので、その際にはこの続きを致しましょう。

 もう時間がない。もう一番。正代は自信満々だ強い。朝乃山も立派な大関相撲でありました。もう少し場所が続いたら優勝したろう。貴景勝は大事なところでの不戦勝だが、ありがたいようでありがたくないだろう。遠藤の休場は残念だが2横綱が休場、人気力士が次々と休んでしまう。よくこれで本場所が続けられているもんだ。お客さんに感謝しかない。それと何と言っても幕内下位の小兵力士たちの相撲が今場所を救ってくれた。まだ3日残っている。誠意を込めて相撲を取ってもらいたい。

 それではお言葉に甘えて失礼します。今夜は何を食うのかまだ分かりません。失礼します。(元横綱)