◇25日 大相撲秋場所13日目(東京・両国国技館)

 欠点も吹き飛ばすような勢いが、いまの関脇正代(28)=時津風=にはある。2敗同士の直接対決、高い立ち合いで大関貴景勝(24)=千賀ノ浦=とぶつかって弓なり。圧力を逃すように一歩も引かない。突き返しておっつけて、大関の足がそろった瞬間に突き落として11勝目。相手の土俵の押し相撲で充実ぶりを見せつけ、トップタイを守った。

 「立ち合い、相手が強いのは分かってるんで、負けないように必死に当たりにいった結果ですかね。高さは癖もあってすぐには改善できないけど、圧力は筋力アップで強くなるかなと思って、優先してきた」

 13勝した初場所と11勝の先場所で経験した優勝争いは、自身に落ち着きをもたらしただけじゃない。立ち合いのパワーアップの必要性を痛感。腰高や胸から当たる悪癖にはいったん目をつぶり、馬力を強化してきた。

 22日の10日目は、弟弟子・豊山の誕生日だった。取組後は「帰ってケーキ持って行きます」と声を弾ませたが、翌日は「よく考えたら、買いに行けない…」。コロナ禍の外出自粛でお祝いを断念。けがで途中休場した大事な稽古相手も待つ部屋のために“三度目の正直”で賜杯が欲しい。

 14日目は、1差で追走する朝乃山の胸を借りる。V戦線から相手を蹴落とすか、自身と星で並ばれるかの大一番。次の番付を目指す上でも、大関連続撃破ならアピール効果は抜群だ。

 「大それたことは考えないですけど、笑顔で部屋に帰れたらいいんじゃないですかね」。優勝の2文字こそ口にしなかったが、最高の結末はしっかり思い描けている。