女子ラグビーにも海外挑戦の時代がやってきた。15人制の女子日本代表のFW加藤幸子(20=横河武蔵野アルテミスターズ=がイングランド女子プレミアリーグのエクセター・チーフスにプロ選手として移籍し、10月10日の開幕戦でデビューした。女子日本代表は来年9月のW杯ニュージーランド(NZ)大会出場を目指している、若きラ組女子の加藤に世界に挑む思いを聞いた。

 「周りは日本では見たこともないような大きい選手ばかり。でも、日本でやってきたように低くタックルすれば倒れる」

 英国からオンライン取材に応じた20歳の笑顔は輝いていた。開幕のグロスター戦では背番号3の右プロップで先発。試合には敗れたが、要所要所でタックルを決め、「相手が大きくても日本人にできることはあると思った」と手応えを感じたという。

 女子日本代表のレスリー・マッケンジー・ヘッドコーチ(HC)を通じ、エクセターからのオファーが届いたのは今年3月だった。昨秋の欧州遠征でのプレーで白羽の矢が立ったのだ。

 「そんなリーグがあることも知らなかったけど成長のチャンス。断る理由はない。すぐ『行きます』と返事をしました」

 渡航費用などはチームが負担し、試合に出場すると100ポンド(約1万3000円)の出場給が出るプロ契約。チームの選手はイングランド人が多いが、主将はオランダ人。カナダや米国の代表もいて、NZの選手もこれから合流予定という。

 当初は8月の予定だった渡英は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、9月16日まで遅れた。英国入り後も2週間は隔離措置を取り、チームに合流したのは10月1日。そこからわずか10日目の公式戦デビューだった。

 コロナの影響は他にもあった。同リーグでは今季、身体接触を抑えるため、試合再開時にスクラムに代わってフリーキックを多用する臨時ルールを採用。「スクラムをあまり組めないのは悔しいです」と加藤は残念がるのだ。

 それでも、慣れない土地で挑戦を続ける。

 「英語は全然しゃべれないけど、映画を英語で見たりして勉強して、少しずつ聞き取れるようになってきました」

 目指すは来年の女子15人制W杯。NZで、世界を驚かせるために、サチコは異国で己を磨く。

 ▼加藤幸子(かとう・さちこ) 2000(平成12)年2月19日生まれ、名古屋市名東区出身の20歳。164センチ、80キロ。早大スポーツ科学部3年(休学中)。ポジションはプロップ。小5でラグビーを始め、愛知・春日丘高3年の17年7月、香港代表戦で日本代表デビュー。

 ◆イングランド女子プレミアリーグ 2017年9月に始まった女子15人制のリーグ。10チームによるホームアンドアウェー方式で、上位4チームによるプレーオフで優勝を争う。昨季まで3連覇しているサラセンズをはじめ、男子プレミアリーグクラブの女子部として参戦しているチームが多い。加藤が加入したエクセターは昨季女子部が設立され、今季がプレミア初参戦。なお、エクセター男子は10月17日の欧州チャンピオンズカップ決勝で、ラシン92(フランス)に31―27で勝ち、初優勝を果たした。