◇27日 J2・第2節 東京V1-1町田(味の素スタジアム)

 無観客の味スタに町田ポポビッチ監督の絶叫が響き渡る。開始3分、背番号10を背負う平戸がペナルティーエリア左角から弾丸右ミドルを対角線のゴールに突き刺した。平戸はベンチへ向かって駆け出し、喜びのあまり高江、佐野と抱擁した。鮮烈な今季初得点に控え選手も歓喜の声を張り上げ、総立ちだった。

 「これ以上のない立ち上がりだった」。同監督はそう褒めたたえながらも、その後は防戦一方の展開だった。「選手たちが美しい1点目に満足してしまったのかもしれない」と顔をしかめた。

 東京Vがボールを支配し、町田がカウンターを狙う攻防の連続。重い試合が動いたのは終了間際だった。後半46分、パス交換でペナルティーエリア内に侵入した東京Vの山下が倒された。PKだった。球を手渡されたのは途中出場の主将、MF藤本だった。

 昨年8月11日の鹿児島戦で右膝に重傷を負い、約11カ月ぶりの復帰戦。緊張、重圧もかみしめ「思い切り蹴ろう。何も考えず、強気にいこう」。得意の左足で右隅に流し込み、貴重な勝ち点1をたぐり寄せた。

 終盤は足をつる選手がいた。苦悶(くもん)の表情を浮かべ腰を折る選手もいた。終了の笛が鳴ると、選手たちは次々とピッチに力なく座り込んだ。激闘、真っ向勝負。ボールを蹴る音、体と体がぶつかり合う音。指示の声、叱咤の声、喜びの声―。125日ぶりのJ2再開。超厳戒態勢下の試合ながら、サッカーのある日常が戻ってきた。