渋谷真コラム・龍の背に乗って

◇27日 中日〇6ー1●広島(ナゴヤドーム)

 与田監督が求めてきた「この1球」への強さが表れた勝利だった。1回の2点目と2回の追加点は、凡打と安打で大きな差がつく2死三塁からの適時打で挙げた。4回の失点も2死三塁から打たれたが、直前の無死一、二塁で鈴木誠を併殺打に打ち取っていたからこそ最少失点で済んだ。

 勝利に大きく近づいた「この1球」は6回。京田が四球を選び、加藤が送った1死二塁で、切り札・アルモンテを代打に使った。三遊間を割る適時打で3点差。与田監督が「京田の加速もよかったし、荒木コーチが本当によく回してくれたなと思う」と走った人も走らせた人もたたえた追加点だった。

 「荒木コーチは回すとは思っていましたが、ショートに捕られるんじゃないかと思って、少しスピードを緩めてしまいました」。田中広が捕ると、三塁を大きくオーバーランすれば挟殺される。スタートが遅れたのは、京田がリスクの調整もしようとしたからだが、荒木コーチは打球が抜けると見切っていた。左翼のピレラは懸命のワンバウンド送球をした。頭から突っ込み、左手で触塁した京田。広島はリクエストで食い下がったが、セーフの判定は覆らなかった。

 「守備位置も深かったので、僕はいけると判断しました。京田がよく走ってくれました」

 3イニング残して3点差に広げる好判断。すでに2安打放っていた1番・平田に1死一、三塁でつなぐ選択肢もあったが、荒木コーチに迷いはなかった。名ランナーは時として名ベースコーチにあらず。そういう人を見てきたのは、自分では「できてしまう」からだ。加速してからの本塁突入は天下一品だった荒木コーチ。その足跡を追う京田は、師匠からこう諭された。

 「おまえは人に打点をつけてあげる選手になれ」。アルモンテは今季初打点。「京田が必死になって走ってくれた。京田のおかげだよ」。好走塁は、仲間をハッピーにもさせるのだ。