お金で優勝は買えるのか―。日本プロ野球選手会(炭谷銀仁朗会長)は1980年から支配下登録選手を対象とした年俸調査を実施している。12球団の総額は304億5075万円。球団によって懐事情は異なるとはいえ、当然ながら注ぎ込む金額が多いシーズンは「勝負がかり」と解釈できる。過去の事例を見ながら、費用に見合った成績を残せているかどうかを検証する。

 28日に発表された今季の調査結果では、ソフトバンクが平均7131万円(前年比1473万円増)で巨人を上回り、2年ぶりにトップに返り咲いた。この2球団による「ワン・ツー」は7年連続。「常勝」を強く意識している表れだろう。

 一方、平均年俸が右肩上がりなのは広島と楽天で、いずれも今季は過去最高を記録した。4236万円の広島は10年前との比較で倍増に近い伸びを見せ、5100万円の楽天は日本一になった2013年の2964万円から2000万円以上も増えた。

 【今季の平均年俸】

 (1) ソフトバンク 7131万円

 (2) 巨人     6107万円

 (3) 楽天     5100万円

 (4) 広島     4236万円

 (5) 西武     3972万円

 (6) 阪神     3863万円

 (7) 日本ハム   3798万円

 (8) DeNA     3592万円

 (9) ヤクルト   3351万円

 (10) 中日     3179万円

 (11) オリックス  3038万円

 (12) ロッテ    3035万円

 気になるのは費用対効果だ。使った金額と成績は比例するのか。各球団で平均年俸が過去最高となったシーズンの成績を見てみると、興味深い事実が判明する。意外や意外、平均年俸が最も高かったシーズンにペナントレースを勝ち取ったのは2019年の巨人だけ。他の11球団は優勝に手が届かず、むしろ前年より順位を落としている球団も多い。

 最も顕著な例はオリックス。2014年は終盤まで優勝争いを演じ、6年ぶりのAクラス入り。すると、そのシーズンのオフには、FAで小谷野を獲得し、日本球界復帰の中島も加わった。助っ人ではDeNAからブランコ、広島からバリントンが加入。また、FAなどで流出の可能性があったエースの金子、守護神の平野、主砲の糸井をそれぞれ年俸5億円、3億円、3億5000万円(いずれも推定)で引き留めた。しかし、結果は期待を大きく裏切って5位に終わった。

 【各球団の過去最高年俸シーズンと成績】

 ()内の数字は前年順位→該当年順位

 ▽西武〈2003年〉    4099万円(1→2)

 ▽ソフトバンク〈2018年〉7826万円(1→2)

 ▽日本ハム〈2011年〉  3981万円(3→2)

 ▽ロッテ〈2009年〉   4325万円(4→5)

 ▽オリックス〈2015年〉 4464万円(2→5)

 ▽楽天〈2020年〉    5100万円(3→?)

 ▽中日〈2013年〉    5198万円(2→4)

 ▽ヤクルト〈2017年〉  3737万円(5→6)

 ▽巨人〈2019年〉    6926万円(3→1)

 ▽阪神〈2009年〉    5794万円(2→4)

 ▽広島〈2020年〉    4236万円(4→?)

 ▽DeNA〈2005年〉    4748万円(6→3)

 今季は開幕から9試合終了時点で、平均年俸が12球団最低のロッテ(3035万円)がパ・リーグの首位を快走。同一カード6連勝を含む8勝1敗と開幕ダッシュに成功し、12球団最高年俸のソフトバンクは3勝6敗と出遅れた。一方のセ・リーグは巨人が年俸と成績をしっかりと比例させて首位に立っている。とはいえ、まだシーズンは始まったばかり。費用対効果に注目しながら各球団の戦いぶりを見るのも面白そうだ。