◇29日 日本女子プロゴルフツアー アース・モンダミン・カップ最終日(千葉・カメリアヒルズCC=6622ヤード、パー72)

 新型コロナウイルス感染拡大によって約4カ月遅れた今季の開幕戦は、涙の復活Vでフィナーレを迎えた。渡辺彩香(あやか、26)=大東建託=が通算11アンダーで並んだ鈴木愛(26)=セールスフォース=とのプレーオフを制して優勝。2015年の樋口久子Pontaレディス以来、4年8カ月ぶりのツアー通算4勝目を飾った。女子ゴルフツアーの次戦は8月14日開幕のNEC軽井沢72を予定している。

 熱いものが込み上げてきた。激闘を制した彩香が笑顔でグリーンを下りると、ギャラリーのいないコースに比嘉真美子、酒井美紀ら仲間が待っていた。不調時もずっと寄り添ってくれた川口淳キャディーも笑っていた。「ここ数年、苦しかったですよね?」。インタビューでこう聞かれると、思わず涙があふれた。

 「もう勝てないと思った時期もあった。この2年が一番厳しかった」

 第3日の4位タイからともにスコアを4つ伸ばして並んだ昨季賞金女王とのプレーオフは、1ホール目で決着をつけた。18番パー5、第3打で4メートルの下りスライスラインにつける。「私の一番好きなライン。ちょっと長すぎた(もっとピンの近くに止めたかった)けど、下りを残した方がいいなと思って、第3打は突っ込み気味に打ちました」。先に鈴木がバーディーパットを外す。自分だけに残された舞台、彩香がバーディーパットを大事に、丁寧に沈めた。

 「応援してくれる人を喜ばせるのがプロの仕事」。言い続けてきた言葉が実現できていなかった。一昨年は賞金ランク55位。昨年は30試合に出場して予選通過7、賞金ランク115位まで落ちてQT(予選会)から今季出場権を取り返した。「特に自分の所属会社や契約スポンサーの大会で結果が一切残せなかったのが、ふがいなくて。プロ失格だなという気持ちになった」と振り返る。

 大スランプの入り口は2016年全米女子オープンでの悲劇だった。リオデジャネイロ五輪代表の座を目前にしながら、最終日最終ホールで残り65ヤードから池ポチャ。1打の差でその夢がまさに水泡に帰した。「あのショットはこの先いいことがあっても悪いことがあってもたぶん忘れられない」。試行錯誤を繰り返し、深みにはまり、もがきにもがいた。昨年夏、中島規雅プロに師事する決心をし、自身の持ち味だったフェードボールへ原点回帰。それを磨き続けた今オフだった。

 「今は自分が一番好きなドライバーショットが気持ちよく打てる。もっと質の高いフェードを目指していきます」。梅雨空、新型コロナ、うっとうしいものすべてを忘れさせてくれる、“飛ばし屋”の彩香らしい豪快な復活劇だった。

 ▼渡辺彩香(わたなべ・あやか) 1993(平成5)年9月19日生まれ、静岡県熱海市出身の26歳。172センチ、65キロ。10歳でゴルフを始める。埼玉栄高では辻梨恵と同級生。2012年のプロテストに合格。13年に賞金ランキング46位で初のシードを獲得。14年のアクサレディスでツアー初優勝。15年は2勝を挙げるなど賞金が1億円を超えランキング6位と躍進。19年は6年ぶりに賞金シードを失った。