◇評論家のファームチェック「1軍へ昇れ」

 期待の若手たちが1軍で飛躍するための課題は何か。本紙評論家の目を随時掲載する。今回は元中日外野手の彦野利勝さん(55)が2年目の根尾昂内野手(20)をチェックした。

 2軍戦の根尾の打撃を見た。感じたことを端的に表すと「もうちょっと」という言葉になる。

 昨年から比べれば、随分良くなっている。昨年は高卒新人が陥りがちな悪い流れにはまっていた。高校生でも150キロを投げる投手はいるが、プロの速球は質が違う。手元でのスピード、精度が違うから捉えられない。そこでつまずき、変化球が加わるから、全く打たせてもらえなくなる。

 1年間苦しんだ経験から、間の取り方、手の出し方が上達し、プロの速球に対応できるようにはなってきた。やろうとしていることはできてきている。

 あと少し、と感じるのは打つポイントだ。若干体に近い。原因の一つに意識の持ち方が考えられる。球を呼び込もうとし過ぎて、遅れが生じているのではないか。

 2つ目は技術面。テークバックの際、右肩を捕手方向に大きくひねる動作が気になる。右肩を引いたところから振り出す分、バットが出てくるのが遅くなる。テークバックで肩は少し動くものだが、投手側の肩はできるだけ動かない方がいい。体を振ると、球を捉える確率も悪くなる。

 根尾はもともと体をひねり、反動を使って打とうとする癖がある。しっかり振り切ることは大切だが、全力で振ろうという意識があまりに強いと、この癖が助長される。

 現状でも1軍に上がり、何打席か立てば安打は出るだろう。ただ、もっと高い次元を目指す選手だと思う。今はちょっと遅れているから、速い球はほとんど左方向への打球になっている。150キロの速球を一発で仕留め、中堅から右のスタンドに放り込める選手になってもらいたい。

 守備は、外野もできた方が得である。1軍でポジションをつかむ足掛かりは、レギュラーのケガや不振からポッと巡って来る機会がほとんど。与えられることはなかなかない。可能性は広げておいた方がいい。