◇大相撲春場所13日目(20日・エディオンアリーナ大阪)

 私に相撲を語る資格なしである。12日目の白鵬の敗戦を相当手厳しく書いた。そして、朝乃山戦も冷静さを失った白鵬の優勝はないだろう、と断言してしまった。朝「はやわざ御免」を読み返し、少し言い過ぎたかな、と思っていたところであります。

 問題の一番は、たぶん熱戦になるだろうと予想されたが、勝負はあっという間に決着した。胸が合って、左上手を引いた朝乃山が有利。白鵬はおそらく張り差しに出るだろう。そして徹底的に左四つにこだわるだろう。私はこのように相撲が運ぶだろうと、確信に近い見方をしていたのであります。

 ところが、白鵬は私の意表をついて右からもろ差しを狙った。私はこれには驚いたが、朝乃山はもっと驚いたに違いない。右差しは封じられ、命綱というべき左上手にさわることもできない。白鵬は迷うことなく一気に前に出て、自らの牙城を狙う若き宿敵を圧倒。43回優勝の底力を見せつけた。前日とは手のひらを返すようだが、ここ一番の強さはまだまだ朝乃山ごときが及ぶところではない。

 敗れた朝乃山は痛恨の3敗目。いいところなく敗れた相撲内容も、印象を悪くしたのは間違いない。それでも鶴竜に勝って12勝3敗なら、昇進があり得るかもしれない。あと2番、無心で戦うことである。

 これで優勝は、碧山が負けたので2敗が3人、3敗まで権利が残されている。さて、最後に笑うのは誰だ。

 もう少し書きますか。勝つだけ勝って敢闘賞を狙えと激励した琴ノ若は、あれから4連敗。勝ちたい気持ちばかりが先に立って、体がまるで動いていない。若いのだから、将来につながる相撲をとることが大事だ。あと2番、腹をくくって行こう。

 炎鵬は13日目も物言いがつく相撲となったが、取り直しも十分に動き回って若手のホープ、大栄翔の勝ち越しに待ったをかけた。今場所、すでに負け越しが決まったが、最後まで決して勝負をあきらめない姿勢は実に立派なものだ。まだ若いのに、人気におぼれることもなく、頑張る姿はテレビで観戦されている人たちに、微力だが勇気を与えることになっていただけると幸甚であります。

 まるで理事長あいさつみたいになったが、今場所は全員、良く頑張っていると思う。あと2日。手に汗する展開になることを祈りつつ、私は今から飯を食います。例の友人の店から焼き肉定食と辛いみそスープとキムチ、ノンアルコールビールが1本。テレビを見ながら1人ディナーを楽しみます。それでは英語でグッドナイト、シーユーアゲイン。(元横綱)