新型コロナウイルスの影響で東京五輪が1年程度延期されることが決まったことを受け、日本陸連の瀬古利彦マラソン強化プロジェクトリーダー(63)が25日、東京都内で報道陣の取材に応じ「マラソン代表内定者の権利を守ってあげたいと思っている。(6月の)陸連の理事会で諮らないといけないが、提案したい」と再選考はしない意向、方針を示した。

 延期決定を受けても、その場に重苦しい空気はなかった。瀬古リーダーはほっとしたような表情を浮かべつつ「(延期を)早く決めていただいたIOCの方に感謝申し上げます。準備期間が増えたと前向きに捉えたい」と語った。強化委員会として内定した6人の権利保持を理事会に提案するという。

 「3年かけて取った権利を急に取り上げることはできない。自信を持って選んだ6人ですから、(最長1年延期で)力が落ちるとかそういうことは全く考えていない」。

 東京五輪マラソン選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」は瀬古リーダー発案の選考方式。2017年夏から長い年月をかけ、選手の強化を図りながら、クリアな選考方法を提示した。9月のMGCで暑さに強い男女上位2人ずつが内定。ファイナルチャレンジでは3月の東京で大迫が再び日本記録を更新し、名古屋ウィメンズでは一山が日本歴代4位の好タイムでそれぞれ最後の切符をつかんだ。

 瀬古リーダーは現役時代、1980年モスクワ五輪でボイコットを経験。7月19日の開幕まで2カ月を切った5月24日に不参加が正式に発表された。当時を振り返りながら「(ボイコットを)やるのかやらないのか、練習に身が入らなかった」と悔しそうな表情を見せた。今回、東京五輪の延期を受け、選手や監督からも出場権を心配する声も届いていた。「早く正式な発表を伝えたい」と心情をおもんぱかった。

 五輪の日程が丸一年延期に決まると、MGCで決まった選手がマラソンを走らなかった場合、2年近くマラソンを走らないことになる。「練習もそこそこ積めていると思う。希望としては1回くらいは(本番までのどこかで)マラソンを走ってほしい」とリクエスト。リーダーらしくいち早く延期を受け止め、前を向いた。