日本水連は25日、東京五輪の代表選考会も兼ねた4月の日本選手権(2〜7日・東京アクアティクスセンター)を中止とすることを決めた。この日の常務理事会で一度は従前通り、延期が決まった東京五輪の選考会とすることを確認したが、東京都内の新型コロナウイルス感染拡大を受け、小池百合子都知事(67)が同日夕、記者会見で週末の不要不急の外出を避けるよう呼び掛けたことから一転、中止となった。新たな五輪代表選考方式については今後、協議するという。

 とどまるところを知らない新型コロナウイルスの感染拡大は、1年延期で決着、再スタートを切ろうとしていた東京五輪、スポーツ界にさらなる打撃を与えた。一度は従前通り代表選考会として実施が確認された競泳の日本選手権だったが、その決定から数時間後、急転直下で中止という前代未聞の事態となった。

 この日午後5時から行われた常務理事会。日本選手権を開催するという方針の下、東京五輪の代表選考についても「普通の選考会。今まで通り、基準通りにいく。選手、指導者の開催への強い要望。今までこのために選手たちは一生懸命やってきた」(日本水連の坂元要・専務理事)と、決勝で派遣標準記録を突破し2位以内に入った選手を1年後に向けて内定することを決め、散会した。

 だが、同8時からの小池都知事の記者会見を受け一転中止が決まり、同9時53分に報道陣に通知された。

 一連の騒動では認識の甘さもあった。常務理事会後の会見で同専務理事は開催を「最終決定」とし、報道陣から小池都知事が外出自粛要請を出す可能性について問われると「うわっ、そうなんですか」と慌てた様子も見せた。それでも「弱い表現ならやる方向」とあくまで開催の姿勢は崩さなかった。

 だが、悪化する一方のコロナウイルス禍と、日本選手権の開催地でもある東京都の危機感は想像を超えていた。小池都知事は会見で、28日に後楽園ホールで予定されていたK―1が無観客試合となることを発表。日本選手権も無観客試合で実施されることになっていたが(1)都外からの選手が多く、宿泊時などに感染の可能性がある(2)K―1はイベントに参加する人数は少ないが、競泳は1000人単位の参加があり、より危険性が高い―ことなどから中止という結論に至った。

 今後の開催時期や代表選考については強化担当と検討し、27日に再度常務理事会を開くが、混乱は避けられない。1年後の延期が決まり、スポーツ界が前を向こうとした翌日に“冷や水”を浴びせる騒動。未知のウイルスが五輪、選手を翻弄(ほんろう)し続ける。