無念の春(1)=幻の高校選抜大会代表校の今

 コロナウイルスの感染拡大で晴れの舞台を奪われたのは、高校球児だけではない。全国高校体育連盟に加盟する競技団体が今春に予定していた高校選抜大会も、全て中止となった。全国の強豪との対戦に向け、鍛錬を続けてきた選手や指導者は無念をどのように受け止めたのか。選抜大会に出場予定だった愛知県の5校を追った。

 新型コロナウイルスの余波は、体操の全国高校選抜大会ものみ込んだ。東京五輪に向けて特別強化選手の指定を受けている新田いずみ(17)=東海学園高2年=も目標が突然消えたショックを払拭(ふっしょく)できずにいる。「1年前の選抜もケガで出られなかった。大学進学のこともあるし、今年こそアピールしたいと思っていた。悔しい。悲しい」。表情は晴れない。

 並外れた脚力を武器に将来を嘱望されてきた。指導する中京ジムナスティッククラブの松本忠親監督(55)は「パワフルという言葉を超えるパワーがある」。跳馬ではDスコア5.4のユルチェンコ2回ひねり、ゆかでH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)は使う。いずれも限られた選手にしかできない大技だ。

 一方で昨年は足首の痛みなどに悩まされた。夏のインターハイでは平均台で落下するミスもあって35位。チームとしても目標の団体6位以内に届かず、「ケガを言い訳にしてしまった。主将としてみんなを引っ張ることができなかった」と落ち込んだ。だからこそ、選抜に懸けていた。

 憧れは、2018年世界選手権個人総合銀メダルの村上茉愛(日体ク)。新田と同じくゆかと跳馬を得意とする日本のエースに「オールラウンダーでミスがない」と理想を重ね合わせる。卒業後の進路は村上と同じ日体大を希望。いずれは世界で日の丸を背負える選手にと思い描く。

 チームメートには、選抜の中止をきっかけに体操をやめてしまった選手もいた。新田は喪失感と戦いつつ、今は4月の全日本選手権へと気持ちを奮い立たせている。「全日本まで少し余裕ができたと思いたい」。夜更けまで技を磨く日々が続く。