「2020」のタイトルはそのままに今年7月に予定されていた東京五輪が来年に延期されることになった。世界的に猛威をふるう新型コロナウイルスはいまだ収まる気配を見せない。そしてこの延期が選手にそれぞれのモチベーション再構築を余儀なくさせている。

 組織委員会も断腸の思いで下した決断だったろうが、代表選手たちは厳しい選考大会を勝ち抜いてきたエリートの中のエリートばかり。紙一重の戦いに競り勝ってつかんだ栄光だ。

 その中で男子66キロ級以外の13階級で内定者が決まっている柔道は、今後全代表を再選考する可能性が残されているようだ。ほかの格闘技では、既に内定を決めている空手とテコンドーは再選考会はしない方針。中でも空手は内定会見を開く予定で、世界空手連盟(WKF)が大きな変更案を示さない限り再選考はしないという。

 全日本空手道連盟理事の香川政夫選手強化委員長は「年間10回以上の海外遠征もあって選手が肉体的にも精神的にもギリギリの状態。リフレッシュした方がいい」と話す。選手にとっては自分の技を見直す機会で、この延期を前向きにとらえようと呼びかけるのだ。

 日本が東京五輪で目指す金メダルは30個。国技と位置づける柔道と空手は金メダルの期待が高い。再選考の可能性が残る柔道代表はもちろんのこと、選手たちは不安な日々を送らなくてはならない。1年はとてつもなく長く、重い。1年後、この苦難を乗り越えたアスリートたちが新たなドラマを見せてくれることを祈らずにはいられない。(格闘技評論家=第1回オープントーナメント全日本空手道選手権王者)