©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

コミック累計発行部数4000万部を突破し、あの『ワンピース』をも超えたともいえる勢いを見せている『鬼滅の刃』。

Netflix&Huluで配信中のアニメシリーズの後を受けた初の劇場用長編“無限列車編”が10月16日に公開されるなど、勢いはまだまだ続きそうです。

新型コロナウィルスによる外出自粛・巣ごもりもあって時間的に余裕ができたユーザーから、“イッキ見”できるサブスク(定額制サービス)でのアニメシリーズへの注目と需要が高まっています。

この流れに制作者も積極的に参加し、地上波放送に先行、並びに同時配信という形でNetflixやAmazonプライムなどに作品を展開する例が増えています。

そこで、今回は特に“イッキ見”にぴったりな、満足度の高いSSFアクション&サスペンスアニメ作品をまとめてご紹介。

できるだけ独占配信やオリジナル配信作と言ったレア度のある作品を中心にピックアップしていき、さらに!今後に待機中の新作情報も交えてお贈りします。

シリーズを“イッキ見”できる上にSFアクション&サスペンスモノは起承転結がはっきりしているので、見終わった後のモヤモヤ感や海外ドラマにありがちなシリーズブリッジのためのクリフハンガー演出も少なめ。そういう意味でも巣ごもり“イッキ見”には最適です。

『攻殻機動隊 SAC_2045』(Netflix)

Netflixにて、全世界独占配信中(※中国本土を除く)Ⓒ士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会 

1989年に、士郎正宗によって発表されたコミック『攻殻機動隊』。

当時としては先進的過ぎるとも言える科学技術を多く取り込み、電脳犯罪に挑む者たちの姿を描き、後に現実世界でその多くが実現するなど大友克洋の『AKIRA』などともに未来を予言したとも表現される日本SFコミックの金字塔的作品です。

過去に押井守監督が1995年に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』として映画化した際にはアメリカ・ビルボードビデオ売り上げて週間一位を記録し、ジェームズ・キャメロンやウォシャウスキー姉妹などに多大な影響を与え、2017年にはスカレーット・ヨハンソン主演で『ゴースト・イン・ザ・シェル』として実写リメイクもされるなど、世界的にも通用するジャパン・アニメーションの代表的なタイトルとなっています。

過去に様々な形で映像化されてきたこの『攻殻機動隊』を『東のエデン』神山健治と『APPLESEED』の荒牧伸志というW監督のもと、新たにフル3DCG アニメーション作 品として、全世界独占配信(※中国本⼟を除く)がスタートするNetflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』。

舞台は西暦2045年全世界で起こった経済災害「全世界同時デフォルト」が発生、さらにAIの爆発的な進化により世界は“計画的かつ接続可能な戦争”を意味する“サスティナブル・ウォー”へと突入していました。かつて日本の内務省・首相直属の秘密組織公安9課のメンバーだった全身義体のサイボーグ草薙素子とバトーらは北米で傭兵部隊として活動していました。

しかし、新たな脅威“ポスト・ヒューマン”と呼ばれる存在が現れます。

彼らがいかにして生まれたのか何を目指しているのか?そこに絡んでくる大国の謀略など、多くの不確定要素を抱えながら再び始動した“攻殻機動隊”が新たな戦いに身を投じていくことになります。

田中敦子、大塚明夫、山寺宏一といったこれまでの『攻殻機動隊S.A.C』シリーズのボイスキャストや一部設定等を踏襲しつつも(人気キャラクターのタチコマも登場します!)、全く新しい物語がスタートします。

オープニングテーマにはKing Gnuの常田大希の新プロジェクトmillennium paradeが『millennium parade×ghost in the shell:2045』名義で作り上げた『Fly with me』。

今回、先行してNetflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』をスクリーニングで確認しましたが、“攻殻機動隊ブランド”のがシリーズ初のフル3DCGアニメーションという表現手段を得たことで“電脳犯罪”を創り手、受け手のイメージに更に何歩も深く踏み込んだ映像を創り上げられたと感じました。

SFジャンルのアニメーションでもマシーンや武器などのガシェットが全面に出てこない作品はCGを取り込みつつも2Dの手触りが残る映像の方が効果的な場合もありますが、神山健治と荒牧伸志は既にNetflixの2019年の最大のヒットアニメの一本になったフル3DCGアニメーション『ULTRAMAN』でコンビを組んでいて、SFアクションとフル3DCGアニメーションとの相性の良さ、応用の仕方も熟知していることもあって、“攻殻”を最も活かす3DCGの使い方をしていると言えると思います。

一方、ストーリーとしては“経済災害”「全世界デフォルト」が起きた後の世界で計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー”が続いている世界が舞台。そして、これまでの“攻殻”からは時間的にも概念的も大きく“翔んだ”世界感が創り上げれられています。

特に世界同時配信を意識したこともあるのか“経済災害”「全世界デフォルト」、継続可能な戦争“サスティナブル・ウォー”などなど世界観を大きく再構成するアイデアが多数盛り込まれています。

“攻殻機動隊”の映像化作品は過去にも多くありますが、本作から入っても楽しめる物語造りになっています。また、早くもシーズン2の製作が決定しています。

現在、Netflixでは過去の映像化作品も楽しむことができるので、このNetflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』をきっかけに振り返って見るのもいいかもしれませんね。

https://www.ghostintheshell-sac2045.jp/ 

旧作から一気に見るということで言えばNetflixでは日本アニメ史に残る金字塔『機動戦士ガンダム』がほぼ網羅されているので、思い切って手を付けるのもありかもしれませんね。

『PSYCO-PASS』(Amazonプライム/Netflix)

『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督、『十二人の死にたい子どもたち』の原作で知られる冲方丁などが手掛け3度のテレビシーズンと5本の映画、他舞台、ドラマCDなど多岐渡って展開されているSFサスペンス。

最新劇場版『PSYCO-PASS3サイコパスFIRSTINSPECTER』は全国35スクリーンでの限定公開ながらも週末興行収入ランキングTOP10に食い込むなどスマッシュヒットとなりました。

舞台は、今から約100年後の日本。世界各国が文明崩壊する中で、日本は再鎖国に入り、独立独歩の繁栄を得ています。それを可能にしたのが生体認証から深層心理、様々な適正までも数値化する“シビュラシステム”。職業から結婚、その日の食事に至るまでを管理できる包括的な支援システムです。このシステムによってストレスは色相と呼ばれる判定レベルで判別され、この色相が悪化した者は犯罪者になりうるもの“潜在犯”として犯罪行為を行う以前から取り締まられるようになります。結果、旧来の司法システムは無くなり、警察も厚生労働省の直轄の公安局がその任を引き継ぐことになります。

物語はその公安局に新人として常守朱が赴任してくるところから始まり、犯罪の在り方、シビュラシステムの秘密、そしてシステムの枠外に存在する者との対峙までを描いています。合間に挟まれる新旧SF/サスペンス作品からの引用やセリフなども楽しみの一つでした。

この流れが大きく変わったのがシーズン3です。

シーズン3では鎖国政策を転換させた日本が舞台となります。それまでのメインキャラクターが大きく後ろに下がり、新たに慎導灼と帰化移民の炯・ミハイル・イグナトフとい二人の新人が公安局に赴任してきます。世界観に関してはある程度予習が必要になりますが、シーズン3からはよりバディモノの刑事ドラマとしての色合いが強くなります。

テレビシリーズ展開と同時にAmazonプライムで配信が始まり、シーズン3の完結編となる劇場版『PSYCO-PASS3サイコパスFIRSTINSPECTER』も配信オリジナル編集版で見ることができます。もちろんシーズン1、2も見ることができるほか、レンタル大賞作品ですが舞台版も見るも見ることができます。

https://psycho-pass.com/3rd/ 

『バビロン』(Amazonプライム)

Amazonプライムの中から衝撃作を。昨年公開された長編アニメーション映画『HELLO WORLD』の原作者でもある野崎まどが手掛けた同題原作小説を基に映像化された作品です。

限りなく現代に近い日本が舞台で、東京都西部に新特区“新域”が新設されることから物語は始まります。ここの初代首長“域長”を決める選挙の裏に怪しげな思惑を感じ取った検事の正﨑善は新域構想に深くかかわっていくことになります。

そんな中で曲世愛と言う謎の女の存在を知ります。一見すると普通の女性のように見えますが、常に印象を変え続ける“姿を使い分ける能力”、“人を自殺に追いやる能力”、“人の人市区を課せさせる能力”と言った通常の催眠術のはるかに上回る能力の持ち主であり、多くの人間を自由自在に操っていきます。

この曲世愛と初代域長となった齋開化が“新域”に与えられた独立性を武器に個人が自殺を選択することを肯定する“自殺法”の制定を宣言してしまいます。シリーズ後半ではアメリカ大統領をも巻き込む形で、世界規模で物語が展開されていきます。

各話のラストには「番組はフィクションであり、登場する人物、場所、団体、および法律等は実際のものとは関係ありません。また、特定の思想、信条を肯定・否定する内容ではありません。」と注意書きが必ず出るのもある意味生々しさを感じさせます。

https://babylon-anime.com/ 

『DEVILMAN crybaby』(Netflix)

Netflixアニメクリエイティブからも一大転機なったと言われているのが今作です。

原作は1972年に永井豪が発表したコミック。同年に早々にアニメ化され、その後も断続的に映像化作品が発表され、2004年には実写映画『DEVILMAN』も製作されました。

そんな中で、Netflixリミテッドシリーズとして製作されたのが『DEVILMAN crybaby』。

昨年公開の『きみと、波にのれたら』やアニメ版の『映像研には手を出すな!』の湯浅政明が監督を務めました。

今まで、様々なアレンジがされてきた『デビルマン』の原作に立ち返り、原作の完全映像化に挑んだ作品です。

オリジナルコンテンツが特に多いNetflixですが、2年半ほど前にアニメ作品の拠点を日本に設置、そしてそのキックオフ作品的な立ち位置に据えられた作品が『DEVILMAN crybaby』でした。

ちょうど放映のタイミングが、海外でも日本のアニメーション作品への支持が集まる流れとも重なりNetflix本社の予想を上回る形で全世界的に大きな支持を受け、それ以降日本製アニメーションシリーズの展開が加速してくことになります。

湯浅政明監督はNetflixで今年秋の配信予定のあの小松左京のベストセラー『日本沈没』を基にした『日本沈没2020』を手掛けます。2度の実写映画化を含み様々な形で視覚化されてきた『日本沈没』が東日本大震災を経た日本で、どのようなアニメーションになるのでしょうか?

https://devilman-crybaby.com/ 

https://japansinks2020.com/

『ULTRAMAN』(Netflix)

『DEVILMAN crybaby』の成功を受けて、日本から発信されたのが『ULTRAMAN』。

後に、Netflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』を手掛けることになる神山健治と荒牧伸志によるフル3DCGアニメーション。

タイトル通りあの“ウルトラマン”を再定義したコミック(原作:清水栄一作画:下口智裕)のアニメ化作品。本作も国際的に大ヒットを記録し神山&荒牧両監督は2019年のアニー賞の(テレビ/メディア部門)の監督賞にノミネートされました。

ストーリーは最初の実写特撮ドラマ『ウルトラマン』から40年後の世界が舞台もので、『ウルトラマン』以降のウルトラマンシリーズは無かったことになっているパラレルワールド的な続編です。

主人公はウルトラマンと同化していた早田進の息子・早田進次郎。驚異的な身体能力を持つ彼が特殊な力とウルトラマンスーツを身にまといい異星人と戦います。

基本的等身大のヒーローと異星人との闘いを描き、全く新しい設定のウルトラマン・スーツバージョン7(セブン)“ウルトラセブン”を身にまとう諸星弾など、設定がリブートされたウルトラマンジャックやウルトラマンエース、ウルトラマンタロウが登場します。

Netflixでの配信から約一年後の今年の春からは一部地上波での放映も決まり、本シリーズのシーズン2の製作も決定済みです。

ちょうど監督が同じNetflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』『攻殻機動隊 SAC_2045』の配信と『ULTRAMAN』の地上波放送の開始時期が重なることもあってコラボレーションビジュアルも作成されていました。

Netflix×クラシックタイトル×3DCGと言うことでいえば『聖闘士星矢』を新たに映像化した『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』もあります。

https://anime.heros-ultraman.com/ 

https://heros-ultraman.com/news/anime_movie/20200412/post-665 

『虫籠のカガステル』(Netflix)

Netflixにて2020年の2月に世界配信人が始まったばかり新作。

人間が巨大な”虫 “になり、人を襲う病(=カガステル)が蔓延する世界に生きる男と少女をめぐる終末アクション・ストーリー。

21世紀末、人が巨大な虫になる奇病「カガステル」が発生し、人類はこの駆除を認めるまでに人口の2/3を食い殺されたカガステル発生から30年後の西暦2125年。虫の駆除屋の少年キドウは、虫に襲われ少女イリと出逢い、“虫”を巡る大きな秘密に近づいていきます。

https://cagaster.com/ 

『7SEED‘』(Netflix)

Netflixにて2019年に第1シーズン、そして今年・2020年春に第2シーズンの配信が始まったばかりの近未来サバイバルSFストーリー。

少女が目覚めると、そこには狂暴化した生物が巣くう世界となっていて、そこから生き抜くために、若者たちが協力して生き抜こうとする姿を描きます。

“7SEED’”とは人類が滅亡する巨大隕石の衝突の可能性を知った、各国首脳らが作った極秘プロジェクトの名前。

若く健康な人間を選んで冷凍保存し、地球に災厄が起きている間中眠らせ続け、やがて人が住める状態になったとコンピューターが判断した時に自動解凍を行うという計画。

原作は2001年から2017年の間連載されてきた少女コミックで、複数のキャラクターの視点から物語を描く群像劇でもあります。

http://www.7seeds.jp/ 

プラスα『OBSOLETE』(YouTube・BANDAI NAMCO Arts Channel)

変わり種を一つ。YouTubeのBANDAI NAMCO Arts Channelで視聴可能なSFアクション『OBSOLETE』(オブソリート)。このアニメシリーズは『魔法少女まどか☆マギカ』から前述の『PSYCO-PASS』、アニメ『GODZILLA』三部作などを手掛けるゲーム・アニメ制作会社のニトロプラスの虚淵玄がシリーズ構成・脚本を手掛けるSFアクション作品。

YouTubeのBANDAI NAMCO Arts Channelで誰でも見ることができます。

一話あたり12分程度で短いのですが、映像クオリティは他の作品と比べてもハイクオリティです。これがタダで見られるというのはなかなか太っ腹なところですが、企画の発端はポーズを変えてもその造形美が失われずに、美しさが残るプラモデルを作りたいという企画から始められものです。さすがは“ガンプラ”のバンダイナムコですね。

実際に劇中に登場する汎用ロボット“エグゾフレーム”のプラモデルが販売中です。このように書くと販促映像のように思われがちですが、そういった範疇を超えたハードテイストなアニメに仕上がっています。前編に当たる第1シーズンは2019年末に配信され、続く後編は今年・2020年冬配信予定です。

https://project-obsolete.com

『BNAビー・エヌ・エー』(Netflix)

最後に現在進行形の作品から。

昨年・2019年5月に公開されオリジナルアニメとしては異例のロングラン公開された『プロメア』。『天空突破グレンラガン』『キルラキル』でコンビを組んだ今石洋之監督と人気劇団・劇団☆新感線の座付作家中島かずきという監督・脚本コンビが再集結した長編アニメーション。

新感線の舞台出演経験もある松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人、に劇団の看板役者古田新太などがボイスキャストとして参加しています。

『キルラキル』以降制作に関わってきたのがアニメ制作会社TRIGGER。

そのTRIGGERが『キルラキル』『プロメア』に続いて中島かずきが組んだ最新アニメシリーズが『BNAビー・エヌ・エー』、今西監督もアクションディレクターとして参加しています。

人類と獣人が存在する世界で普通の女子高生だったみちるが突然タヌキ獣人となってしまい、獣人たちが迫害から逃れてきた街、獣人特区のアニマシティに逃げ込んで・・・というストーリー。現在地上波で放映中ですがNetflixでは先行して6話を配信中です。

突飛な設定を飲み込ませる力業の説得力と、ハッタリのっきたアクションパート、ケレン味の利いたセリフ回しなど、劇団☆新感線の舞台と共通する部分も多いのも特徴です。

https://bna-anime.com/ 

(文:村松健太郎)