世界最大級の自動車博物館といわれる、ピーターセン自動車博物館の地下には"The Vault"と呼ばれ、コレクションの数々が置かれている貯蔵庫のような空間が存在する。クラシックポルシェ編集部が2019年夏、実際に訪れてみたレポートをお届けする。そこに並ぶ、なかなか表に出ることのないクルマの中には希少なポルシェの姿もあった。

アメリカ・ロサンゼルスにあるピーターセン自動車博物館はマガジンパブリッシャーでもありコレクターでもあったロバート・E・ピーターセン氏が、妻と共に創設した世界最大級の自動車博物館である。建設されたのは1994年だが、2013年には大がかりな改装が行われ完璧にリニューアルを遂げた。モダンに生まれ変わり、年齢問わず楽しむことができるバラエティに富む企画展を頻繁に開催できるようになったのである。
 
過去には、ポルシェを大々的に取り上げた「ポルシェ・エフェクト展」が開催されていたこともあったが、2019年は、ハリウッドに登場したクルマにフィーチャーした展覧会が主に開かれている。デロリアンなど奇抜なクルマが表舞台でゲストを迎えているかたわらで、その地下ではクルマやバイクのマスターピースがひっそりとゲストを待っているのだ。その場所は、" The Vault"(以下 ヴォルト)と呼ばれている。


 
エレベーターを降りると現れるその空間は、屋根が低く、いたって普通の駐車場なのだがぎっしりと様々なクルマが並べられている。250台以上がラインナップされており、その広さは6万平方フィートにもおよぶそう。ここにあるコレクションは、メイン展示の入れ替えやイベント展示などで常に変化する。置かれているクルマはいわゆる「待ち」の状態ということだ。ミュージアムが所有しているものもあれば、プライベートオーナーが預けている、というものもある。ピーターセンで保管されていると、おおやけには明らかにされていないものも中には存在しているそうだ。ヴォルトの一般公開は2018年までされていなかったが、現在では"ヴォルト・ツアー"が行われている。

 

中をガイドしてくれるスタッフが一人付き、グループで周るというコンテンツだ。博物館の入場料とは別に参加費はかかるが、このコレクションを解説してもらいながら楽しむことができる時間に対して、その料金を払う価値は十分にあるだろう。ちなみに、90分間のツアーで25ドル、120分間のツアーで30ドルだ。「クルマを見るだけで2時間も必要なのか?」と思う人がいても不思議ではないかもしれないが、気付けば2時間など軽く過ぎてしまっている。世界に1台しかない貴重なクルマばかりだが、スティーヴ・マックイーンが愛してやまなかったというジャガーXKSS や、映画撮影に使用されたアイコニックなクルマなどもレーシングカーやスーパーカーとともに並んでいる。





その中には、ポルシェの歴史においてマスターピースとなるが、あまり表には出されていない901や、356コンチネンタル カブリオレ、910なども見ることができる。もちろん、メイン展示エリアでもポルシェは存在感を放ち置かれている。幾度となくポルシェをフィーチャーした展示が開催されてきたことや、実際にミュージアムの一角に並ぶドイツ生まれの名車を見ると、いかに自動車史においてポルシェが大きな役割を果たしてきたのかということがうかがえる。開催されていたポルシェに関するミニ展示は"UNCOMPROMISED DESIGN"(妥協のないデザイン)とネーミングされ、ポルシェのミドシップモデルをテーマとしている。(会期は2020年10月まで)
 
ぜひ一度、秘密基地のようで冒険心が高ぶる地下にも潜入していただきたい。