ポルシェは再生可能素材によるインテリアの開発にも力を注いでいる。

「植物繊維でできたドアパネルがすでに存在しますが、プレミアムスポーツカーメーカーである我々の目に適うレベルのものはまだないですね」とはエクステリアのコンポーネントやインテリア・ソリューションの開発も手掛けるマティアス・フロッシュレはいう。

しかし、あと数十年も経てば、ポルシェが納得することができるクオリティになったコンポーネントが登場するだろう。「2048年を迎えるまでに有機繊維によるポルシェが完成するとは思いませんが、持続可能性やリサイクリングといったテーマは今後ますます重要性を増すでしょう。素材だけでなく、積層造形のように新しい生産方法の研究開発も重要になってきます」と、ヴァイザッハのイノベーションおよびプレ開発管理部門で働くヘンドリック・セバスチャンは話す。

”積層造形” とは聞き慣れない言葉だが、3Dプリントといえば思い当たる人も多いのではないか。パワーユニットプレ開発部に所属し、3D プリント技術を専門とするファルク・ハイルフォートとフランク・イッキンガーが、電気モーターのローターシャフトであり、電磁トルクをトランスミッションに伝達してくれるシリンダー型のパーツを紹介してくれた。「このパーツは特別なステンレススチールで出来ています」と説明しながら、ハイルフォートはシャフトの横に置かれた極めて微細なグレーのパウダーが入った小さなガラスパイプを指差す。

その顕微鏡でしか見えないほど極小のパウダーが大型パーツの基本材料だといわれても、ピンとこないだろう。レーザーを使ってパウダーを溶かしながら幾重にも層を重ねていく。パウダーでできたローターシャフトは最終的に50cmくらいまで成長していく。フライスや旋盤を使った従来の工法とは全く異なる ”積層造形” によって造られるパーツのメリットは、余分なステンレススチールを再利用することによって原材料を最小化させることが出来る点だ。そしてなにより、複雑な形状をいかようにも構築できる。さらに、無駄な部分がないため軽量でありながら、表面の裏側は細かな波状になるので強度や耐久性の面でも優れているのである。

3Dプリンターによって再生可能なポルシェが誕生することはないだろうが、2048年には様々な新素を適材適所で使いこなし、スチールとアルミニウムと炭素繊維を組み合わせたより軽量で頑丈なポルシェが実現しているだろう。そのために必要とされるのは、確かな展望と研究開発過程における飽くなき探求心、そして新たなイノベーションを生み出す情熱だ。