●日産としてはこのGT-Rのデザインを外に出してしまう気にはならなかった!?

1月10日から12日まで開催された東京オートサロン2020。メーカー系出展車の中から、とくに興味深いスタイルのクルマについて突撃インタビュー。

今回は日産ブースから「Nissan GT-R50 by Italdesign」について、日本側の窓口となったデザイナーの藤原氏に話を聞いてみました。

GTR・メイン
GT-Rとイタルデザイン両者の50周年を記念して制作された特別モデル

── 今回は世界で50台限定の貴重なモデルが展示されたということで、開発の経緯などをお聞きしたいと思います。まず、普通に考えればスタイリングをイタルデザインに依頼しそうなところですが、なぜそうならなかったのでしょう?

「これはもう明確にデザインは日産で行うという前提の企画だったんですね。イタルデザインにはビルダーとして生産をお願いすると。もちろん、イタルのスタイリングは素晴らしいものばかりですが、正直日産としてはこのGT-Rのデザインを外に出してしまう気にはならなかった(笑)」

GTR・フロント
GT-Rのスキンの中にゴールドの別体を通したような表現は流行のレイヤー風

── では、日産としてデザインを考えるとき、どのようなコンセプトを打ち立てたのでしょう?

「あくまでもGT-Rは量産車として品質や性能、保証期間、あるいはコストといった諸々の制約があるわけですが、とにかく一旦それらをすべて外してみようと。そこでどこまでできるかのチャレンジでした。
ただ一方、現実問題としてGT-Rは一旦できあがっているクルマですから、物理的に変えられない部分もある。そうした中でグローバルコンペを実施し、現実的な課題をクリアしたスケッチが選ばれていった感じですね」

── ウィナーはアメリカのスタジオ案と聞いていますが?

「はい、北米スタジオのデザイナーの案が選ばれました。ただ、イタルデザインが欧州なので、そのデザイナーにはロンドンのスタジオに移ってもらい、最後まで担当してもらいましたね」

GTRサイド
あくまでも基本スタイルは維持しつつ、スペシャルな装飾が各所に施される

── デザインとしては、従来のGT-Rのスキンの中にゴールドの別体が突き刺さったイメージですね

「ゴールドの使い方については、かつてのケンメリのレースカーへのオマージュという話がありますが、他にも最近の流行であるレイヤードという手法を取り入れながら、大幅にパワーアップしたエンジンに合わせ、フロントからリアへ抜ける空気の流れをイメージしたスタイリングであるとも言えます」

── このクルマについて、社内での評価はどのようになっていますか?

「基本的に社内の評価は高いですが、もともとこのプロジェクトは一部のスタッフにしか知らされていなかったんですね。もちろんコンペに参加したデザイナーは知っていますが、そのほかのデザイナーや社員にはまったく知らされていなかった。なので、グッドウッドでお披露目されてから社内の評価が始まった感じです」

GTR・リア
リアはほとんど手作業に近い製造方法で可能になった複雑な造形

── デザインは日産主導ですが、イタルデザインに生産を委託することによって可能になったこともあったのでしょうか?

「たとえば、オールカーボンのリア周りなどは一般的な量産技術では不可能で、イタルデザインでは事実上手作業に近い方法で生産していますね」

── 完成してみて、デザイナーの藤原さんの目にはこのGT-R50はどのように映っていますか?

「この企画は欧州スタジオにいた日本人デザイナーがイタルデザインと話を始めたことが発端で、自分はその日本側の窓口役だったんですね。なので私自身がデザインしたわけではないのですが、もともとこのGT-R自体が量産車として奇跡的に成立したようなクルマなので、その超高性能車を一旦崩し、その上で再びまとめるというのは非常に困難だろうと考えていました。
それがここまで上手くできたのは、やはりイタルデザインのノウハウがあってのことなんだろうと感心しましたね」

── 50台限定とは言え、さらなる高性能車をメーカーとして保証しているわけですからね。本日はありがとうございました。

(語る人)
日産自動車株式会社
グローバルデザイン本部
第二プロダクトデザイン部
藤原正英 氏

GTR・デザイナー

(インタビュー・すぎもと たかよし)