捨てられるような部分を、いかに美味しく料理するか


僕が料理に興味を持ち始めたのは、小学生のときです。僕があまりにも料理に熱中しているから、親がいくつもの料理コンテストに応募してくれて。テレビの料理大会に出たこともあります。高校は調理師の免許が取れる学校に行き、卒業後は板前になりました。

食品ロスに関心を持ったきっかけは、いくつかあります。中学生の頃、僕は釣りが大好きでした。釣った魚を自分でさばいて食べる経験をして、食とは命をいただくことだと実感できました。それに、当時に所属していたボーイスカウトで、鹿をさばいて肉にする機会もあって。

そうした経験から「生きものの命をいただいているからこそ、食べものを粗末にしてはいけない」と学びました。

高校生の頃にはさまざまな本を読んで、日本各地には食材を丸ごと食べる料理が数多く存在すると知りました。例えば九州には、大型の白身魚の頭や内臓、エラまでを料理する「頭料理」と呼ばれるものがあります。沖縄では、豚の血液や耳といったさまざまな部位を余すことなくいただきます。「捨てられるような部分を、いかに美味しく料理するか」に、僕は興味を持つようになりました。

でも、社会人になって板前として修業するうちに、ある葛藤が生まれました。飲食店では、ものすごい量の食材を毎日廃棄します。「本当にもったいない。なんとかできないだろうか」と考えるようになったんです。

お店に勤めながら食品ロス対策の活動を始めて、SNSでの情報発信やお弁当の作成・移動販売、ケータリング、ポップアップレストラン、料理教室などに取り組むようになりましたが、働きながらその活動を続けることに限界を感じ、お店の仕事を辞めたんです。

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おうちで今日からできる、食品ロス対策の心得


僕が食品ロス対策について活動するとき、大切にしている3つの軸があります。

1つめは「食べられない」と思っている食材を見直すことです。例えば、ピーマンのワタと種、ナスのヘタ、枝豆の皮って、細かく刻めば食べられるんですよ。ヘタや皮、ワタは取らなくちゃいけないという固定概念を持っている方も多く、「過剰除去」が問題になってるんです。ヘタや皮はむしろ栄養も豊富なので、「普段は捨てているけれど、本当は食べられる部位がたくさんある」と知っていただけると嬉しいです。

2つめは規格外で普段は市場に出回らない食材を使うこと。大きくなりすぎたり、形が変だったり、少しだけ傷んでいるような食材で料理をつくります。作り方の工夫次第で美味しく仕上がりますよ。

3つめは、捨てられやすい副産物を使うこと。例えば、おからやマグロの血合い、酒かす、醤油のもろみなどの多くは捨てられてしまいます。でも、本当はちゃんと料理すれば、美味しくいただけるんですよ。僕はおから料理をたくさんつくっていて、スパニッシュオムレツにおからを混ぜたり、擬製豆腐(裏ごしまたは細かく崩した豆腐に、さまざまな食材や調味料を混ぜて整形加熱した料理のこと)で豆腐の代わりにおからを使ったりしてきました。

おからは本当に便利な食材で、お寿司のシャリ代わりに使ってもおいしいんですよ。高知県の郷土料理にも「おから寿司」というのがあって、これをイタリアンにアレンジしたレシピを考案しました。

イタリアンおから寿司

by みっきー食ロス削減!

シャリをおからにして、低カロリー、食物繊維たっぷり!
オリーブと合わせることでしっとり美味しい。

おからのパサパサ感や独特の香りを、オリーブと胡椒を加えることでしっとりおいしく仕上げています。低カロリーで食物繊維たっぷりなので、健康志向の方にもおすすめです。作り方も簡単なので、ご家庭で気軽に作っていただけると思います。

ほかにご家庭でできる食品ロス対策としては、食べられる部位をできるだけ食べること。それから買いものをするときに、廃棄される寸前の食材を買うことなどがおすすめです。スーパーなどで、値引きシールが貼られているような食材ですね。誰でもできますし、値引き品は安上がりですから一石二鳥です。

「食品ロス対策」といっても、けして大変なことをする必要はありません。無理なくできることから、取り組んでいけばいいと思います。

「捨てられる食材に関心を持つこと」が、食品ロスを減らす第一歩


僕は今後、食育にも携わっていきたいです。というのも、今はまだ飲食関係者以外には、食品ロス問題に興味・関心を持っている方が少ないからです。

もっと多くの方々、特にご家庭で日々のごはんをつくっているような方々に、食品ロスの問題について知っていただきたい。そのためには、さまざまな場で情報を伝えていく必要があると考えています。多くの人たちがこの問題について知って、対策していかなければ、食品ロスを減らすことはできません。

クックパッドニュースを読んでくださる方にも、ぜひもっと食品ロスについて知っていただけたら嬉しいです。世界中には、まだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまっている食材がたくさんあります。

その事実について学び、何か普段の生活でできることはないかと考えることが、食品ロスを減らすための第一歩です。ぜひ、自分のできる範囲から行動していただけたら、とてもありがたいです。

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(TEXT:中薗昴)

松田樹生(まつだ・みきお)料理人

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幼い頃から料理をしており、「もったいない料理人」という名前で、食品ロス削減をテーマに弁当、ケータリング、ポップアップレストランなどの活動をしている。

Twitter:https://twitter.com/1ove_f00d

Note:https://note.com/1ovef00d