安定した演技力と異色の存在感で、若手女優のなかでも異彩を放つ富田望生。現在6クール連続で連ドラに出演中の彼女が、同名人気コミックを映画化したラブコメ映画『私がモテてどうすんだ』では、大好きなアニメキャラが死んだショックから1週間寝込み、激ヤセして急にモテ始めるBL(ボーイズラブ)好きのヒロイン・芹沼花依を、E‐girlsの山口乃々華と2人1役で演じている。弱冠20歳ながら、本作を含め“容姿”をテーマとしている作品への出演が相次いでいることについて、富田は「求められることがうれしい」と前向きにとらえている――。

■ 最初は分からなかったけど…現場で理解できたBLの魅力

 「これまでにもキラキラした青春を描く作品はありましたが、友情やスポーツがテーマだったので、こうした分かりやすくイケメンやかわいい子が出てくる恋愛作品は初めてでした。新鮮で楽しかったです」と振り返る富田。山口演じる激ヤセ後のヒロインにアプローチするイケメン4人衆には、吉野北人、神尾楓珠、伊藤あさひ、奥野壮が扮する。

 「現場ではみんな仲良しでした。私自身は、花依のようにBLに惹(ひ)かれる気持ちが、最初は分からなかったんです。でも、やっぱりイケメン同士が仲良くしているのを見るのは単純に楽しいし、気分がいい(笑)。カメラの外でも、撮影期間中に楓珠と、あさひくんがお泊りしていたと聞いて、花依ちゃん的に『なんていい情報なんだ!』と思ってました。『今日も泊りに行くんだよ』なんて、すごくありがたい情報を、彼ら自身がいろいろしゃべってくれるので、『へえー』なんて聞き流しながら、内心ニヤリと(笑)」。

■ 「大好きになってから大嫌いになる」 今も生きるデビュー作の教え

 本作で激ヤセ前のぽっちゃりヒロインを演じた富田。映画デビュー作『ソロモンの偽証』(前後篇 2015)では、役のために体重を増やして臨んだことが知られているが、公開から丸5年を過ぎた今も心に留めている、成島出監督からの教えがあるという。

 「『相手のことをもっと考えろ、もっと大切にしろ』とずっと言われていました。その教訓が土台にあります。だから、共演者のことは、いつも本気で好きになります。男女関係なく。ぶつかる芝居のある相手ならなおさら」。

 その教訓の大切さを、ドラマ『宇宙(そら)を駆けるよだか』(Netflix配信)において、当初は対立する役柄で清原果耶と共演した際に強く実感した。

 「最初に大好きになって、それから大っ嫌いになりました。信頼を込めて。セッティングの30分間、隣同士に座ってひと言もしゃべらずにらみ合っていたこともありました。それができる相手だったんです。めちゃめちゃ信頼していたし、今もすごく仲がいいんですよ」と柔らかな笑みを見せる。

■ 容姿がテーマの作品への出演 「求められることがうれしい」

 『宇宙〜』やドラマ『ブスの瞳に恋してる 2019 The Voice』(FOD配信)、そして本作『私がモテてどうすんだ』と、容姿がテーマのひとつになった作品への出演が続いている富田。20歳の乙女が挑むには酷な役にも思えるが、「自分が求められることがうれしい」と明かす。

 「そうした役を演じることに抵抗はないです。『私でいいんだ。精一杯がんばります!』という気持ち。もちろん、物語上、役として傷つくことはあります。でも役者としては、求められることがうれしいです」と言い切る。さらに本作については、ヒロインの変身をフックにしながら、もう1つテーマがあるという。「“好きだと思えるもの”を、自分の中で大切にしてほしい。自信を持って好きと言ってほしい。それが大きなテーマかなと思います」と、本作に込められたメッセージを解釈する。

 若手実力派としての階段を駆け上がる富田。近年はカメラマンとして雑誌連載を持ったり、情報バラエティ番組『ヒルナンデス!』(日本テレビ系/毎週月曜〜金曜11時55分)で木曜レギュラーを務めたりと、女優業以外でも活躍中だ。「自分自身が楽しむことを大切にしています」と話す。さまざまなことを吸収しながら、唯一無二の女優になっていってほしい。いや、彼女ならなれるに違いない。(取材・文:望月ふみ 撮影:高野広美)

 映画『私がモテてどうすんだ』は7月10日より全国公開。