俳優の役所広司と西川美和監督が初タッグを組む映画『すばらしき世界』より、特報が解禁された。また、本作がトロント国際映画祭にて初お披露目され、主演の役所と西川監督がリモート参加した。

 直木賞作家・佐木隆三の小説『身分帳』を原案とする本作は、人生の大半を獄中で暮らし、出所して改めて日常社会と向かい合った男の生き様を描く。これまで一貫してオリジナルにこだわり続けた西川監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ。主演の役所は、人生の大半を刑務所で過ごし、社会から“置いてけぼり”を食らいながらも、真っすぐすぎる性格と、どこか憎めない魅力で周囲の人々とつながっていく三上正夫役を演じる。

 本作は、米アカデミー賞の前哨戦となる第45回トロント国際映画祭の正式出品作品に選出され、現地時間9月10日、ワールドプレミア上映が行われた。新型コロナウイルス感染拡大影響により世界中の映画祭が規模縮小を余儀なくされ、トロント国際映画祭でも出品作が例年の4分の1程度に絞られた中、非常に狭き門を突破しての選出となった。

 上映作品は、コロナ禍の中での試みとして、ソーシャルディスタンスを守った劇場、ドライブインシアター、野外やインターネット上で披露され、レッドカーペットや記者会見はバーチャルで行われている。

 ワールドプレミアには主演の役所と西川監督が日本からリモート参加。プログラミングディレクターのジョバンナ・フルピ氏は、本作を「脚本が非常によく練られストーリーが感動的。見事に質感がありリアルに感じられる。(主人公・三上を演じた)役所は、役の解釈がとても素晴らしくニュアンスと個性が豊かでカリスマ性を感じる」と絶賛した。

 西川監督は役所をキャスティングした理由について「(西川監督が)17歳の時に、役所さんが連続殺人鬼の役をやられたテレビドラマを観ていたくショックを受け、それがきっかけでものを書く仕事につきたいと思うようになりました。映画監督をやることになり、いつか役所さんを主役に映画を撮れないかと考えてきました」と話し、「三上という男は非常に面白い役なので、憧れの役所さんに一念発起してオファーをしたところ、『前向きに考えます』とお返事をいただき、それが自信となって脚本を書き進めることができました」と明かした。一方の役所は役作りで「ミシンの練習を一生懸命やりました(笑)」とし、「また監督と一緒に旭川刑務所を見学できたことは非常によい経験になりました」と語った。

 特報は、テレビマンの津乃田(仲野太賀)とテレビプロデューサー・吉澤(長澤まさみ)の、「相手にしない方がいいんじゃないですか? 放送に耐えられる対象じゃないっすよ」「そこが面白いんじゃん」という会話で始まる。津乃田が持つカメラが向けられるその先にいるのは、優しくて真っすぐすぎる性格の男・三上(役所)。しかし、三上は人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯だ。社会のレールから外れた男と、それをネタに食い物にしようとするテレビマン。映像には三上が穏やかな笑みを浮かべ周囲の人々と交流する姿から、怒りを目に浮かべる表情まで映し出される。

 映画『すばらしき世界』は2021年2月11日より全国公開。