“甘くはいかない”スイーツ開発×ラブストーリーを描いた『この恋あたためますか』(TBS系/毎週火曜22時)。10月27日(火)に放送された第2話では、じわりじわりと、仕事と恋の四角関係が動き出した。(文=阿部桜子) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意下さい

■第2話では“シュークリーム対決”を実施

 本作は、SNSで的確なスイーツ評論をつづるコンビニアルバイトの井上樹木(森七菜)が、業界シェア最下位のコンビニチェーン「ココエブリィ」の経営を立て直すべく、若き社長の浅羽拓実(中村倫也)に誘われ、スイーツ開発に挑む物語。

 前回、一番売れるシュークリームのアイディアを出し、浅羽に認められた樹木とパティシエの新谷誠(仲野太賀)だったが、第2話では、商品部スイーツ課の北川里保(石橋静河)から、もう1つのアイディアが出たことにより、シュークリーム対決が行われることになった。

■北川里保というライバル出現

 突然、現れた樹木に、スイーツ課は冷たい様子。安く手に入るベトナムのカカオを使いたいと樹木が提案したところ、「遠足に持ってくお菓子を決めてんじゃねえのよ」と土屋弘志(長村航希)は、厳しく(なんならちょっとパワハラ気味に)現実を突きつける。

 しかし、そんな中でも、北川は樹木に優しかった。二人はライバル関係にあるにも関わらず、北川は、「お互い頑張りましょうね」とエールを送り、さらには、開発途中、包丁で指を切った樹木に、すばやく手当てを施した。

 その優しさに、樹木は納得行かないようで、家に帰ってから「敵に優しくされた」とポツリ。バンドエイドを勢いよく、くしゃくしゃに丸めゴミ箱へ投げつける。それを見た、同居人で中国出身の“スーちゃん”(古川琴音)は、ピシャリと中国語で言い放つ。「器がちっちゃいと、得られる福もちっちゃいの」。この言葉のボディーブローは、強がりな樹木にしっかり効いていたようだった。

■浅羽&北川に気になる過去

 優しくて、仕事もできて…。強がりの中に劣等感を抱える樹木にとって“完璧”のように見える北川は、1人だけ優しさを見せない相手がいる。浅羽だ。どうやら二人は、過去に関係があったよう。樹木、新谷、浅羽、北川で食事に行った際、浅羽が頼んだワインは、浅羽と北川が“初めて食事をした日”と同じもの。北川は浅羽に「わざと?」と単刀直入に聞く。いつも自信満々で、硬く真っ直ぐな言葉を人に当てる浅羽だが、北川と話すときだけ、声色が少し溶ける。樹木は二人の様子を見て、「変くない?」と新谷にツッコんだ。

■注目すべきは“男性陣の動揺”?

 先程、“声色が少し溶ける”と書いたが、実はこのドラマ、恋の矢印が複数あるゆえか、“男性陣の動揺”も魅力の1つなのではないかと思える。

 例えば、浅羽が樹木と話す時は、常に自信に満ち溢れていて、また余裕もある。第1話、第2話と連続して、樹木がピンチのときに寄り添ってくれる浅羽は、ラブストーリーの王道なヒーロー像と言えるだろう。

 しかし、これだけで終わらないのが『恋あた』。浅羽と北川が二人きりになった際、北川がいきなり浅羽の手を握るシーンがあった。その時の浅羽は、鳩が豆鉄砲を食ったような表情に一転し、キョロキョロと目が泳ぎ、明らかな動揺を見せる。「もう何も感じないね」。あまりにも強気な北川に、浅羽は返す言葉すら出てこない。

 全体的にポジティブで明るい本作の中に、ブレンドされる浅羽と北川のムーディーな関係は、スイーツをグッと大人の味に変える数滴の洋酒のよう。謎多き社長の顔と、北川にタジタジなプライベートの顔。この繊細な演じ分けには、中村の手腕を感じずにはいられない。

■新谷の切ない恋にも心打たれる

 それから、中村のみならず、仲野の細かな仕草にも釘付けにさせられる。仲野演じる新谷は、第1話から、樹木への気持ちが透けて見える、感情丸出しの男だ。しかも、樹木は新谷には、スキンシップ多めで接してくるのもあり、新谷の心も樹木でいっぱい。樹木は、第2話で、酔っ払って、タクシーの中で、新谷の上に乗るという大胆な行動にも出る。もちろん樹木にはアプローチの気はなく、同情すら覚えるほど彼女の行動は、かなり“あざとい”。

 しかし、この男の運命なのか、あと一歩のところで、いつも樹木に届かない。樹木がケガをしたシーンでは北川に先を越され、樹木が工房で眠ってしまった時は、毛布を取りに行くも、タッチの差で浅羽がジャケットを肩にかけていた。選考に通らず、公園で泣いていた樹木を先に見つけたのも浅羽。そのたびに新谷は、スッと感情をなくしたような顔になる。

 仲野といえば、現在放送中のドラマ『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系)では、南海キャンディーズの山里亮太のクセのある妄想を再現し、『今日から俺は!!』シリーズでは、三橋貴志(賀来賢人)にハメられる今井勝俊を演じるなど、これまで、一言では語れない難しい背景を持ったキャラクターやハイテンションな役柄を務めることが多かったように思う。そんな彼が、今回の真っ直ぐなラブストーリーに挑む姿は、非常に新鮮で、樹木と二人きりで作業を挑む場面では、思わずドキドキするような“二枚目”の一面も見せる。

 徹底的なリサーチの上で作られた丁寧な脚本や、自己肯定力の低い樹木が社会に認められていくさま、コンビニの愉快な仲間たちによるコメディ要素など、本作には様々な魅力があるが、実は脇役である男性陣の恋模様も、縁の下の力持ちとなっているのではないだろうか。

 さて、第3話の予告編では、「お待たせしました。恋の四角関係、始まります」と楽しみなワードが出現。商品化を目指し、社内の絆は深まりそうな雰囲気だが、恋の糸は複雑に絡み合う予感でいっぱい。メインストーリーはもちろん、浅羽と新谷の心の揺らぎも楽しみの1つになりそうだ。