別れと出会いの季節、春がやってくる。さあ、出発の準備をしよう!

 2020年は出だしからいろいろあるが、いろいろあっても、巡る巡るよ、季節は巡る。そう、もうすぐ春がやってくる!

 卒業式が中止になってしまった学校も多かった今年。ヨッシャならばベタだが卒業ソングは多少時期が遅れてもいい。ナイスなメロディーに旅立ちと出発を後押ししてもらおうじゃないか!

 そしてここは「再ブーム」発信の場。ナウい卒業ソング特集はCDTVやMステにお任せし、私は中年壮年老年の方々も一緒にキャッキャ歌える昭和の旅立ちソングを紹介したい。

 それが、今年卒業を迎えた若人の目に留まり「こんなエエ歌があるんや」と伝われば、なお嬉しい!

 ということで、さっそく昭和の卒業&旅立ちソング情報収集に勤しんだが、リサーチの年齢に偏りがあったようで、「仰げば尊し」「蛍の光」と答える人が非常に多かった。

「そもそも卒業式で歌謡曲を歌うというオシャレな習慣はなかった」

 とバッサリ言い切る人も数人。くっ、なんの参考にもならない!

 もういい。今回は私の個人的なチョイスで、性格・生き方別にオススメの曲を挙げてみようと思う。では、いざいざ昭和旅立ちソング、ヒットパレード!

「高校三年生」(舟木一夫)

学級委員長や生徒会経験者にオススメ


「高校三年生/修学旅行」(舟木一夫)。LPは1963年リリース。こちらは2003年にリリースされたCD版のジャケット。

 しょっぱなの「スーチャンチャチャーンチャラーララ♪」という理想的にもほどがある昭和なメロディー、瑞々しい少年合唱団のコーラス! このイントロで早々に萌え死ぬ。

 ここから舟木一夫の誠実な歌唱で再度高まり、胸を掻きむしりたくなるので、お気に入りのセーターを着て視聴しないように。

「出発の歌」(上條恒彦&六文銭)

とりあえず前向きになりたい人にオススメ

「大空へ飛んでいけ」ではなく「銀河の果てまで飛んでゆけ」でもなく「銀河の向こうへ飛んでゆけ」。

 この「向こう」という愛らしい表現により、銀河もその気になればご近所さんだと錯覚でき、人生とりあえずおおらかに前進したもん勝ちと教えてくれる。

「学生時代」(ペギー葉山)

清楚系お嬢さまにオススメ

 女子中高生の若々しく美しい制服姿をそのまんま歌にしました! という感じの爽やかさ。

「秋の日〜のぅ↑ 図書館〜のぅ↑」という、少し上がる「のぅ」の部分に思春期独特の色気も感じたりして、オバハンの私が聞いてもドキドキする!

「青春時代」(森田公一とトップギャラン)

学生はツラかったという人にオススメ


1976年リリース「青春時代」(森田公一とトップギャラン)。誰が森田公一なのか非常にわかりにくい配置がシャレているジャケット。

 学生生活なんてちっとも楽しくなかった、将来どうしたらいいのかもわからない、という人はこれを歌い「それの何が悪いってんだ!」と開き直ろうじゃないか。

 森田公一のサラリとした歌声が「青春なんて迷うのが当たり前。それでエエ!」とあなたの背中を押してくれる。

「あずさ2号」(狩人)

卒業後、一人暮らしをする人にオススメ

「信濃路へ」というところを、引っ越し先の地域名に変えて歌い、「あずさ2号」を乗る新幹線や飛行機の名前に変えて歌うと盛り上がる。

 ちなみに「あずさ2号」は2020の3月14日(土)のダイヤ改正で、列車自体が廃止になったらしい。今までありがとう……!

「贈る言葉」(海援隊)

名言が好きな人にオススメ


1979年リリース「贈る言葉」(海援隊)。余談だが武田鉄矢さんは65歳から合気道を始めスピード昇格したという(https://bunshun.jp/articles/-/13036)。さすが我らが金八先生だ。

 この歌の通り、悲しみが多いほど人にやさしくできるようになるはずが、悲しみが増えるほど妬み嫉みが激しくなっている自分に気づいた。ああ、私はなんでこんな大人になってしまったのか。

「乾杯」(長渕剛)

大きな舞台に立ちたい人にオススメ


1988年リリース「乾杯」(長渕剛)。友人の結婚式でこれを歌ったインドのかたが仰天するほど上手で、以来「乾杯」と聞くと、私の脳内では長渕氏より先に彼の声で再生される。

「自分は絶対モノマネなんてしない」。そう断言したとて、最初の一節を歌えば誓いは破られる。

 メロディーのあまりの気持ち良さに我を忘れ、「キャンドルゥライトのゥッ」と長渕節になり、周りを置いてきぼりにする確率が高い危険な一曲だ。しかし気持ちは高まる!

「卒業 GRADUATION」(菊池桃子)

モテモテでマドンナ的だった人にオススメ


1985年リリース「卒業 GRADUATION」(菊池桃子)。この時期の彼女の可愛さはもはや暴力的。セーラー服でなく、ブレザーというのも素晴らしい。

 彼氏からのプレゼントが小説『星の王子さま』! それをわざわざ「サン=テグジュぺリ」という作家の名前で言う彼女!

 オススメしておいてなんだが、私はこの歌の主人公カップルとは絶対仲良くなれない。

「卒業」(斉藤由貴)

卒業式で泣けない人にオススメ

 キーワードは「制服の胸のボタン」。10代の若者に「第二ボタン? なんすかそれ」と言われたことがある。

 20代の若者に「あるのは知ってるんですけど……」と言葉を濁された。

 す、好きな人に第二ボタンをもらうと恋が実るという伝説はもう廃れているの?

「旅立ち」(松山千春)

寂しさをどうにかしたい人にオススメ

 卒業の寂しさがぬぐいきれない人は、この曲を歌おう。

 勇気と切なさ溢れる歌詞も素晴らしいし、サビがものすごい高音なので、歌唱後しばらくボーッとなり、細かいことを忘れられる。

「昴」(谷村新司)

ビッグな夢を持つ人にオススメ


1980年リリース「昴」(谷村新司)。谷村新司が若い!!

 とにかく壮大な歌なので、卒業記念で歌っても、定年を迎えるくらいの達成感と充実感が得られる。

 しかも続けて「サライ」まで歌いたくなるという副作用が出てくる方も多いと聞く。

「ひとりぼっちのエール」(安全地帯)

全面的に勇気が欲しい人にオススメ

 玉置浩二の魂の励ましに泣き奮い立とう。

 ただし寝る前に聞くのは危険。涙してスッキリ眠れるのはいいのだが、次の朝確実に目が腫れる。

「まつり」(北島三郎)

とにかく明るい気分になりたい人にオススメ


1984年リリース「まつり」(北島三郎)。この曲には精神的にとてもお世話になっている。B面の「木津川」も聴かねば。きっと良曲であろう。

 日本人の心の大トリといえばこの曲。内容的には豊年祭りと大漁祭りの歌なので全く卒業式と関係ないが、歌っとけばテンションが上がるので歌っとこう。

 まだまだ山ほどある卒業&旅立ちの名曲。書いていると愛が止まらないので、とりあえずはこのあたりで締めの「蛍の光」を流そう!

 さあ、あなたの新しいドラマはもう始まっている。

 画面越しではありますが、2020年春、旅立ちとはじまりを迎える方、思いっきり応援しています。おめでとうございます!


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲