新型コロナウイルスが、依然として猛威を振るっています。なるべく人との接触を避け、自宅で過ごすことが大切――。しかしウイルスは目に見えないため、なかなか危機意識を持ちにくいかもしれません。

 そこで今回は、非常時の行動規範や思考を学べる「パニック映画&ドラマ」を5本ご紹介いたします。


#01『コンテイジョン』

動画配信サイトで視聴数急増No.1! 注目の映画


「新型コロナウイルスの状況に酷似している!」といま、動画配信サイトで視聴数が急増している映画です。

 未知のウイルスが、香港を起点に世界で蔓延。日に日に感染者が増え、医療崩壊が訪れ、パニックが起こり、街は封鎖され、世界が激変してしまう――。そんな世紀末の世界を描いています。

 各界の関係者に綿密な取材を行ったうえで作られた『コンテイジョン』は、世界保健機関(WHO)が実名で登場するなど、徹底してリアル。

 ウイルス発生後の一部始終が、「市民」「政府」「医療現場」それぞれの視点で克明に描かれ、私たちがいま生きる現実とのリンクに戦慄させられます。

 さらに恐ろしいのは、「その先」までも描いていること。もしこの作品のシナリオと同じように現実が進んでしまったとき、どのような事態が想定されるのか。

「ワクチンが出来上がっても、すぐに終息することはない。そして起きたことは、元通りにはならない」という残酷な現実と、気が遠くなるほど永い闘いに、絶句させられます。

 しかし同時に「いま私たちはどう動くべきか」考える機会や視座も与えてくれるのです。

 観るのに勇気を要する作品だが、これ以上の「予防」になる“薬”もない――。そう思わされるほど、圧倒的な映画です。

コンテイジョン

DVD/Blu-ray 販売中
定額配信 U-NEXT、Netflix
ネットレンタル Amazon Prime Video

#02『FLU 運命の36時間』

あまりに過激! 阿鼻叫喚の地獄絵図を描いた感染パニック映画


『コンテイジョン』が冷静に出来事を積み重ねていくスタンスなのに対し、『FLU 運命の36時間』は狂気のような激情が充満した作品。

 遅々として進まない治療にパニックになった感染者は暴動を起こし、抗体の奪い合いになり、ついには軍隊が出動する大騒動になってしまう……。

「都市封鎖」を提言する医療関係者と政治家の対立を描くサスペンスや、アクションもふんだんに盛り込まれ、後半は目をそむけたくなるようなショッキングな描写も多数観られます。

 病院に運ばれた患者たちのマスクが血で真っ赤に染まっているといったぞっとする演出や、感染者が咳き込んだ際の飛沫を可視化し、様々な人々を病魔に侵していくさまを劇的に描いています。

 あまりに過激なシーンの数々に、観終えた後は手洗いやうがいといった感染症対策を徹底しよう、と誓うに違いありません。

FLU 運命の36時間

DVD/Blu-ray 販売中
定額配信 U-Next、Hulu、Amazon Prime Video
ネットレンタル Amazon Prime Video

#03『ブラインドネス』

もしも全世界の人類が視力を失ったら?


「全世界の人類が、視力を失った」という驚くべき設定のパニック大作です。各国のスターが集まった映画で、日本からは伊勢谷友介さんと木村佳乃さんが出演しています。

 ある日を境に、視界が白い闇に包まれて失明する人が続出。原因が分からず、政府は同じような症状の人々を隔離することに。しかしその収容所では、患者間で権力争いが起こり、独裁者のような人物が現れる――。

『ブラインドネス』は神話的・寓話的なつくりになっており、目が見えなくなったことで新たに生まれる人間の卑しさ・浅ましさ・狂気といった“闇”の部分を鋭く描いていきます。

 これより前に挙げた2作品とは違い、感染しても死亡することはないのですが、そのぶん「視力が消える」恐怖がまざまざと映し出されます。

 主人公は、ある種の“抗体”を持つ女性。「見えている」=変わらない状態の彼女の目を通して堕ちていく人々が描かれていくため、余計に「病気になると、人の心はこんなにも脆く崩れる」ことが突き刺さります。

 かかってから恐怖におびえても、もう遅い。対処法がある以上、毎日きっちりと気を付けて行動しなければ……と気を引き締めさせてくれる作品です。

ブラインドネス

DVD/Blu-ray 販売中
定額配信 U-NEXT
ネットレンタル なし

#04『ディストピア パンドラの少女』

極限状況下での“憎悪”を描く


 未知のウイルスによって、人類の大半が人を食う「ハングリーズ」となってしまった近未来。ハングリーズに噛まれた妊婦から生まれた“ハイブリッド”の少女を巡るサバイバルパニックです。

 この作品で興味深い部分は、憎悪の描き方。

「セカンドチルドレン」と呼ばれるハングリーズと人間の両方の性質を持つ子供たちは、周囲の大人たちから忌み嫌われ、恐怖の対象にもなっています。子どもたち自身に罪はなくとも、大切な人を失った怒りや悲しみをぶつける先がほかにない。

 皆で協力して一枚岩にならなくてはならない時にも、こうした感情が邪魔をしてしまい、悲劇を呼び起こしていくのです。このような、他者に対して「不寛容」になりがちな状況は、私たちが過ごしているいまと重なる部分もあるかもしれません。

 希望となるのは、子どもたちの教育係を務める女性の存在。最優先すべきは、いま目の前にある命を守ること。極限状況下の心得を教えてくれる映画です。

ディストピア パンドラの少女

DVD/Blu-ray 販売中
定額配信 U-NEXT、Netflix
ネットレンタル Amazon Prime Video

#05『チェルノブイリ』

「人類史上最悪」の事態を 壮絶な描写で暴き出す


 最後にご紹介するのは、壮絶な内容が議論を呼び起こしたテレビドラマです。

 ドラマ界の最高賞の1つ、エミー賞で10部門を獲得しました。タイトルの通り、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故を描いたものになります。

 30年以上前の出来事なので、概要は知っていても詳細までは把握していないかたも多いはず。

 この作品は、事故当時に何が起こっていたのか。そして、その後に何が起こったのか。「人類歴史上最悪」と呼ばれる事態はなぜ起こったのかを、えぐるように壮絶な描写で暴き出していきます。

 この作品で寒気がするのは、「無防備の恐怖」をこれ以上ないほど辛辣に描いているから。

 原発事故が起きた際、野次馬根性で外に出た人々は「死の灰」に触れて被爆し、目を覆いたくなるような状態になってしまいます。

「なんとかなる」と自分の目算だけで動いた権力者は、結果的に大勢の人々の命を奪う決断をしてしまいます。

 外出自粛を軽視した結果、自身が発症するだけでなく周囲の人々を巻き込んでしまう人々の姿が、連日報道されています。「最悪の更新」を避けるためにも、一人ひとりが責任を持った行動をしたいものです。

チェルノブイリ

DVD/Blu-ray レンタル専用
定額配信 なし
ネットレンタル Amazon Prime Video

 パニック映画の中には、必ずといっていいほど、私たちの心にちくりと刺さる「警鐘」が込められています。

 そのメッセージをしっかりとキャッチして、いまこそ自らの行動を顧み、活かしてゆきましょう。一刻も早く、日常を取り戻すためにも。

※定額配信とネットレンタルは、U-NEXT、Hulu、dTV、FODプレミアム、Netflix、Amazon Prime Video計6サービスの、2020年4月26日(日)時点での情報を記載しております。

SYO

映画ライター・編集者。映画、ドラマ、アニメからライフスタイルまで幅広く執筆。これまでインタビューした人物は300人以上。CINEMORE、Fan's Voice、映画.com、Real Sound、BRUTUSなどに寄稿。Twitter:@syocinema

文=SYO