台湾で、地域の人々に長年愛されているレストランやスイーツのお店。そんな、ストーリーのある名店を2軒ピックアップ! 

 お店や料理にまつわる、素敵なストーリーを語ってもらいました。

 最初は、台北から日帰りで行ける人気の温泉地・北投からスタートし、現在は高級住宅街の天母で台湾料理を提供する金蓬萊。ミシュランの星も獲得し、多くの人がわざわざ訪れる人気店の3代目が目指す未来とは?


3代続く伝統の味を守りながら 繊細に緻密に努力を重ねたい

金蓬萊遵古台菜餐廳(ジンポンライズングータイツァイツァンティン)


上から、鮑のあんかけチャーハン・酒家版鮑魚福建炒飯 880元(3〜4人前)、スペアリブのフライ・蓬萊排骨酥 250元、冷製鮑のステーキ・主厨特製秘滷鮑魚(冷盤) 450元/1個。スペアリブのフライは、醬油ベースの味付けから揚げ方まで、一子相伝のレシピでつくられる。

 台北市北部にある天母は、外国人居留者の多い高級住宅街。インターナショナルスクールや日本人学校、大使館などが集中するエリアでもある。

 高層の建物が多い市内中心部から車で20分ほど走ると、緑豊かで閑静な住宅街が現れる。


陳 博璿さん。

 その一角に立つ一軒家の邸宅風レストランが、3代目のオーナーシェフである陳 博璿さんが切り盛りする金蓬萊だ。

「祖父が北投で食堂を始めたのは1950年代。政府高官や上流階級の宴席に出す“酒家菜”と呼ばれる、いわゆる高級台湾宴席料理の提供が家業の始まりだと聞いています」


上は祖父の陳 良枝さん。その下が幼い頃の博璿さん。

 日本統治時代には北投に料亭があり、夜ごと宴席が繰り広げられていたそうだ。日本人経営の高級料亭で働く陳さんの祖父がつくる料理は、食通のあいだで評判となる。

 台湾料理は福建料理をベースに、豊かな海山の幸を取り入れて発展してきたといわれるが、祖父の料理は宴席に重用されるだけあって、高級食材を使うのが特徴だった。


個室も充実。

 独立後に「蓬莱食堂」をオープンしてからも、祖父は腕を磨き続け、人々を惹きつける店になったという。

「幼い頃の遊び場は祖父が料理をつくっている厨房でした。鮑やカラスミなどをあーんと食べさせられたりして。今思えば、知らず知らずのうちに舌の教育を受けていたんですね」

 いったんは別の職業に就いた博璿さんにとって、それは後に大きな糧となる。


のれんともいえる、名店への案内板。

受け継いだ財産を 時代の中で輝かせたい


個室も充実。

 父親の代になって店舗は北投から天母に移転。

 レストラン経営の苦労を知る父親は、博璿さんに別の職業を勧めたそうだ。航空会社でサラリーマンとして働き、海外勤務も経験。そして30歳のときに転機が訪れる。


台湾料理の伝統を重んじる言葉が店内に。

「そろそろ体もつらくなってきたから、店をたたもうと思っている、と父から聞かされたんです。おまえどうする? 帰ってくるか? でも、無理しなくていいんだよ、と」

 悩んだ末、数日後に「継ぐよ」と答えた博璿さんの、それからの5年間は無我夢中。睡眠以外の1日18時間、料理修業に明け暮れた。


入り口の床には金細工で店名が彫られている。

「小さい頃に食べた味、あの味を絶やしてしまうのが惜しい、と思ったのです」

 元来食べることも料理をつくることも好き、何より幼い頃に培った確かな舌の記憶がある。

 祖父、父、自分にしか明かされない一子相伝のレシピもある。伝統の味を繫ぐ、という使命感は自然に湧き上がってきた。


2018年、2019年と連続してミシュランの星を獲得。

「祖父や父の時代とは違い、お客様を迎えるうえでインテリアや器などにも店のセンスが問われます。伝統の味を守りつつも、時代に合った料理やサービスを追求していきたい」

 料理人として20年目の2020年、3年連続でミシュランの星を取ることも目標だが、訪れた人がおいしかった、と幸せに感じてくれることを何より大切にしたいと語った。


多くの食通家を迎え入れている。

金蓬萊遵古台菜餐廳(ジンポンライズングータイツァイツァンティン)

所在地 台北市士林區天母東路101號
電話番号 02-2871-1517
営業時間 11:30〜14:00、17:30〜21:00
定休日 月曜
http://www.goldenformosa.com.tw/

※1台湾元=約3.6円
※時差=-1時間
※国番号=886
※夏季、年末年始、旧正月などの営業は各店にお問い合わせください。また、それ以外の営業時間や定休日なども、現地の状況に応じて変更の可能性があります。
※店舗・施設によっては税金・サービス税が加算される場合があります。
※ショップデータ内のクレジットカードの表記は、すべてのカードを使用できない場合のみ「カード不可」と記入しています。
※掲載のデータはすべて2020年3月26日現在のものです。

Photographs=Wataru Sato
Coordination=TOP TAIWAN MEDIA FACTORY
Cooperation=Taiwan Tourism Bureau