ベルリンで出会ったMG Fから、ドイツでのオープンカー事情や左右ハンドル位置について考えてみる

ベルリンで出会ったMG Fから、ドイツでのオープンカー事情や左右ハンドル位置について考えてみる

みなさんこんにちは。今年の夏はいかがお過ごしでしたか?ベルリンの夏はとても短く、過ぎ去るのもあっという間。9月に入ってからの日中の最高気温は摂氏17〜20度ほどで、日照時間が日に日に短くなっていくのを実感しています。薄着が好きなドイツ人も、最近はしっかりとしたジャケットを着込む姿が目立つようになりました。とはいえ、からっと晴れて太陽が出れば、すかさず上着を脱ぎ去って日光浴に勤しむあたり「長く暗い冬が来る前に少しでも太陽の光を浴びておこう」という、現地の人々の日光浴に対する執念(?)をひしひしと感じます。

ドイツでの右ハンドル仕様は希少?

MG F
▲デビューから20年以上経ったとは思えない、魅力的なスタイリング

今回ご紹介するのは、ちょっと懐かしい小さなオープン・スポーツカー、MG Fです。日本での販売期間は1995年から2001年でしたので、もう製造を終えてから15年以上経っているのですね。筆者が今回見かけた個体は、ソフトトップにテープの補修跡がある以外は、全体的に良好なコンディションを保っているように思います。ベルリンでは、ガンガン走り込んで多少のヤレは気にしない、というクルマが一般的ですので、きれいなシルバーの外装が保たれたこのMG Fを見ていると、オーナーが大事に乗っている様子が伝わってきます。

MG F
▲同時期デビューのオープンカーの中で、ミッドシップレイアウトのMG Fは異彩を放っていました

このMG Fに限らず、ドイツで英国車や日本車を見かける場合、右ハンドル仕様であることはまずありません。日本で左ハンドルを見る確率よりも低い、と言えば、どれだけ珍しいか想像できると思います。日本では、左ハンドルの方がリセールバリューがあると言われていたり、左ハンドルに対する憧れやこだわりが未だに存在していると感じることが多いのですが、ドイツに住む人々が右ハンドルに対してそういった思いを抱くことはほとんど無いのかもしれません。クラシックカー・イベントに参加している英国車・日本車も、ほとんどが左ハンドル仕様です。本国仕様の右ハンドルを見る機会は滅多になく、現地の人々は実際の運転のしやすさを重視している、と言えそうです。右ハンドル車を運転するドイツ人オーナーに出会ったら、どんな思いで選んだのか、ぜひお話を伺ってみたいですね。

ドイツ人はとにかく日光浴が大好き!

MG F
▲特徴的なハイドラガス・サスペンションを通常のスプリング・タイプに戻すパーツも販売されていました

ドイツに住む人々の、陽の光をたくさん浴びたいという欲求は、クルマの選択にも当てはまるのかもしれません。どこの街に行っても、オープンカーを見かける割合は日本よりも高く、しかも屋根を開けて走る姿を多く見かけます。日本の真夏のように、高温多湿で屋根を開けると息苦しさすら感じる、という時期がほとんどないということを考慮しても、ドイツの人々は積極的に屋根を開けて走りますし、中には小雨くらいならそのまま走ってしまう猛者も。また、サンルーフの装着率も高く、雨さえ降っていなければ開けているクルマが多い印象です。

そもそもドイツの人々は、屋外でのんびり過ごすのが大好きです。公園で特に何をするわけでもなくごろごろと横になったり、庭に椅子とテーブルを出してお茶を飲みながら読書したり。飲食店の外に設けられたテラス席が満席でも、店内を覗くとガラガラに空いていたりと、彼らはとにかく外で過ごす時間を大事にして、心身をリフレッシュさせます。屋根を開けてオープンカーを運転するのも、そんなリフレッシュの方法のひとつかもしれませんね。

MG F
▲写真の個体はアルミホイールにも傷が少なく、大事にされている様子が伺えます

初代マツダ(ユーノス)・ロードスターの大成功の後、今回ご紹介したMG Fをはじめ、1990年代から2000年にかけてたくさんのオープンカーがデビューしました。メルセデス・ベンツSLK、BMW Z3、アウディTTロードスター、ロータス・エラン(2代目)、ホンダS2000、フィアット・バルケッタ、アルファ・ロメオGTVスパイダー・・・ここに挙げたのはほんの一部ですが、当時注目を浴びたライトウェイト・オープン・スポーツカー市場も、今では環境問題や世界経済の減速に押されて、後継車もなく途絶えてしまったクルマも少なくありません。

これから先のクルマは、単に効率や環境への負荷だけを考えたクルマだけになってしまうのでしょうか?筆者は決してそうは思いません。先の見えないこんな状況だからこそ、少しの間だけでも日常を忘れさせてくれるオープン・スポーツカーの存在は、これからますます重要になっていくと確信しています。願わくは、これからもたくさんの魅力的な選択肢があらんことを。そんなことを思いつつ、ベルリンでもまず見ることのないMG Fをもう一度眺めて、筆者はその場を後にしたのでした。

[ライター・カメラ/守屋健]

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