2020年10月のとある日…。
北関東のさわやかな草原で、これぞ“ボルボ”と思える往年の“カクカク”デザインなボルボ940を取材してまいりました。
筆者の幼少期、ボルボと言えばまさにこの四角いスタイリングで、当時は特にレッドが一世を風靡していた時代、「うちの親も乗ってくれないかなぁ…」と思ったほど。
今回の1997年式ボルボ940エステートは、総走行距離はなんと46万7千kmを超えたところ!!
そしてビックリ、オーナーの生方紀広さんは21才という若さなのです!
生方さんがどのような経緯でボルボ940を所有することになったのか…それではお話をお伺いしてみましょう。



■赤ちゃんの頃から一緒だったボルボ940 


ボルボ940生産末期に限定モデルとして登場したボルボ940エステートクラシック。
生方さんの個体は、“ダークグリーンパール”と称された上品なカラーを纏っています。
1999年生まれの生方さんより2才年上となるわけですが、中古車として購入したわけではありません。
なんと、ご自身が生まれる前から、新車としてご家庭にあったクルマなのです!!


▲赤ちゃんのころ、幼稚園生のころ…と、常に生方さんの成長を見守ってきたボルボ940(写真提供:生方紀広さん)

スキーがお好きで、ハイラックスサーフを2モデル乗り継いだりもしたお父さま。
熱狂的なファンではないにせよ、それなりにクルマ選びにはこだわりを持っていたようで、クラシックグレードの発売時期にマイカーとして選ばれたのがこのボルボ940でした。

お父さまは、なぜボルボをチョイスしたのでしょう?

「なんであれにしたのか…わかんないです。細かな話も疑問にすら思わなくて、聞いたこともなかったので…なんでだろうって、今思いましたね(笑)」

殻を割ったヒナが最初に見たモノを親だと思うように、生方さんにとって家にあるのが当たり前だったボルボ940は、そんな疑問すら感じさせないほど必然的なものだったようです。

日常の移動や旅行時はもちろんのこと、小さかった生方さんが体調を崩したならば、寒い日も暑い日も、きっとこのボルボ940が小児科へと急いだことでしょう…。

幸い途中でお父さまが乗り換えることもなく、いつしか生方さんはチャイルドシートから助手席へ。

「もう幼稚園くらいのときからクルマは好きで、先生に『うちのクルマカッコイイでしょ!』と自慢もしていたみたいなんですよ。小学生のころには、担任の先生のクルマの絵を描いて『ハイ』ってあげたりしていました」

うわ…なんてカワイイ男の子なんでしょう!
実に微笑ましいエピソードです。

まだそのころは日本車の方が圧倒的に見る機会も多く、輸入車は漠然とBMWやメルセデスを知っている程度だったそうですが、ボルボだけは色々調べて、はやくも知識をコンプリートさせていたそう(笑)。


■ボルボフリークになるのは“必然”だった?




“若者のクルマ離れ”なんていうフレーズも目にする昨今。
生方さんもちょうどその世代には当てはまるものの、以降もクルマへの興味は薄れませんでした。

「中学のころからは戦車に興味を持ち始めたので、いろいろ勉強するようになってクルマの仕組みとかはもう知っていて…高校生になってからは、Twitterとかもできるようになったので、外車の種類もちょっとずつ知る機会が増えました」

それからときを経て、免許を取得し社会人となり…。
お父さまからボルボ940を受け継ぐにあたっても、やはり「なぜ」という疑問は感じなかったよう。

「気付いたら乗るつもりだったというか…なんで欲しかったのかはわからないです。親父がクルマ通勤ではなくなり乗らなくなって、3年くらい放置されていました。なので欲しいって話したら、『じゃあ乗れば?』みたいな感じで(笑)。自分にとってクルマ=アレ(家のボルボ940)なので、他の選択肢は一切なかったです。自分の一部みたいな感じでしょうか」

就職を機に独立し、ご実家からは離れることになった生方さん。
受け継いだボルボ940は、今や生まれた家よりも長い付き合いに!

今まで成長を見守ってくれていたボルボ940を、今度は生方さんがお世話をする番となりました。
いわば親孝行ならぬ“親クルマ孝行”そのものです。

学生時代に基礎知識こそあったものの、いざクルマ熱に火が付いたのは、実際に自分が運転するようになってからだそうです。

「もらったときは43万kmくらいで、ボンネットに錆があったり、あちこちヤレがあったので、給料が入るたびにどんどん直しました。身近な人には『ボロ乗ってる』くらいにしか言われないんですが、SNSでボルボのグループみたいなのを探したり、同世代の外車オーナーと仲良くなることもできて…。あっ、今日カタログを持ってきたんですよ!」

と、バッグから「じゃーん」と出てきた2冊のカタログ。


▲まさに愛車ボルボ940発売当時、1997年版カタログ!右がメインの冊子、左がボルボ940(及びS90/V90)のアクセサリーカタログ。家にあったカタログは恐らくお父さまが処分してしまったそうなので、生方さんご自身が入手されました

拝見させていただいている最中も「このダークオリーブパールって色も良いなって思ってるんです。こっちのアクアパールは、実物はもうちょっと明るい青ですね」、「これがタックってモデルで、これがターボ、これがGLのホイールで、こっちはオプションの…」などと心から楽しそうにレクチャーしてくださった生方さん。

所有されているクラシックのみならず、全グレードそれぞれの特徴に精通していたのには驚きました!


▲お持ちなのはボルボ940だけではありません!ネットオークションを駆使して、主に2000年以前のボルボを中心にカタログをコレクション(写真提供:生方紀広さん)

そしてスマホの画像フォルダもクルマだらけ!



同時代のルックスは似通っていて、素人にはなかなか見分けが付きにくいものですが、ワイパーの付き方や細部のモールの違いなどから、スラスラとモデルを判別しちゃう生方さん。

「これ144と164です。どっちも顔が違うだけでボディは一緒なんですよ」

「3桁の車名の2とか7とかはモデル名で、次の4・6はシリンダ数で4気筒か6気筒。80年代から廃止されて最後は0がつくようになったんですけど、それまでは245なら5ドア、セダン(4ドア)なら944みたいに、昔はドアの枚数も表していたんです。今でも好きな人は944とか945って呼ぶ人いますよ!」

……などなど、語りだすと止まらないボルボフリークっぷりをも披露してくださいました!!

よく、人生のなかで初めて触れて感じたことを“原体験”と表現しますが、生方さんの場合、もはやそんな有り体な言葉では足りないほど。

孵ったヒナの刷り込みがそのレベルにとどまらず、果てしない熱意に昇華していった…。
さらりと譲ってくれたお父さまも、きっと嬉しく思っているのではないでしょうか?


■クルマの楽しみ方をボルボが教えてくれた




もとより学生時代からTwitterなどのSNSが身近だった世代です。

周囲にクルマが好きな友達もいなかった生方さん、趣味友達は主にTwitterで見つけることがほとんどだそう。

「前に主に旧車がメインの集まりに行ったことがあるんですけど、外車で注目されやすいのはランチア・デルタやBMWの丸目の3シリーズなどばっかりで、自分のボルボ940はあまり良さを分かってくれる人がいなかったのか、ほとんど注目されなくて『なんだよ〜』って…」

ちょっと悲しい気持ちになってしまった生方さん、もし筆者がその集まりを取材していたら、間違いなくピックアップしていましたよ!

でも、確かに私自身も「イベントでボルボ車ってほぼ見ないなぁ」と不思議に思っていたんです。特に80〜90年代のカクカクボルボは、あんなに流行っていたし、今でもたまに街中では見かけるのにどうしてだろうと。
なのでそのことを聞いてみると…?

「たぶんボルボオーナーは二極化しているんですよ。もともとすごくクルマに興味があった人と、たまたま北欧ルックスや安全性に惹かれて買っただけの人と。ボルボのグループに入れてもらったんですけど、オーナーさんたちの話を聞いた感じでも、ボルボオンリーの集まりにしか来てない人がほとんどで、あまり他のイベントには出てないみたいです」

なるほど…あれだけ流行したからこそ、普通に自家用で役目を終えてしまった個体も相当数で、今なお愛着を持って所有している人たちの中のほんの一部が、イベントにひょっこり顔を出すか出さないか…という瀬戸際なのですね。


▲それでもいるところにはちゃんといます!こんなにいっぱい!!(写真提供:生方紀広さん)

「あと、ボルボオーナーさんは、結構他のクルマに浮気したあと、やっぱり四角いボルボに戻ってくることが多いんですよ。そうなると中古購入することになって、ナンバーが3桁になっちゃいますよね。自分のクルマは当時モノの2桁なので、そこかなり重要です(笑)。最近になってオシャレだということで、雑誌にも取り上げられ始めてきたから、今後はまたどうなるでしょうね。でも、流行りすぎてもイヤだなって気持ちはありますけど(笑)」

古いクルマへの興味を自覚し始め、「見たい!」と思えばなるべくいろんなクラシックカーイベントに足を運んでいた生方さん。

あるとき、たまたま見かけた同世代の輸入車乗りさんに話しかけてみることにしたのだそう。

「現地でTwitterを交換して、しばらくそれきりだったんですけど、あるときその人の『ドライブ行きたいなー』ってツイートが上がってきて……うわぁ一緒に行きたいって思ったんですけど、どうしようかなって勇気が出なくて30分くらい悩んで(笑)。それで『一緒に行きませんか?』って送ったら『いいですよ行きましょう!』ってOKしてくれたんです」

その後、そのご友人がさらにお友達を連れてきたりと、どんどん輸入車仲間が増えていった生方さん。
他にも同世代のボルボ940オーナーさんを見つけることもでき、思わぬツテからロールスロイス・シルバーシャドウ2を運転させてもらえる機会を得たりしたことも!

カメラが得意なご友人が、ドライブ中の流し撮りや、みんなの愛車を並べて雑誌の見開きみたいな雰囲気で撮影してくれることもあるそうです。
それでスマホがクルマの写真だらけになったのですね。

お互いにお互いのクルマの良さを認め合える素敵な友達。
みんなの存在が、生方さんのボルボ940ライフに一層の彩りをプラスしてくれているようです!


■ボルボ940クラシックのココがスゴイ!




「勝手知ったる親父のクルマ」(?)と言っても過言ではないくらい、幼少期からお父さまの見よう見真似で、ボルボ940にどんな機能が付いているのかを把握するのは、いたって自然な流れでした。

ルックスがオシャレなのはご覧の通り。駆動もFRなので、ハイエース並みの全長でも小回りは楽々。
ですがボルボの底力はそれだけではありません!

クラシックモデルならではの主な特徴は、ウッドパネルとレザーが採用されているところ。


▲一番右、ヘッドライトのスイッチ上に設置されているのは純正アクセサリのコインケース。ステアリングは当初2トーン仕様でしたが、経年劣化により単色のモノに変更されています


▲ウッドのシフトノブは今ではもうなかなかネットで出回らないレアアイテムなのだそう


▲電動シートスイッチはメモリも付いており、3パターンまで記憶可能


▲個人的に筆者が憧れるサンルーフ!

そして後部座席には驚きのギミックが…


▲一般的な感覚からすれば、真ん中からは当然アームレストやドリンクホルダーなどの類が出てくると思うものですが…




▲なんとチャイルドシートが現れます!!

2000年以降に義務化されるまで、乳幼児を過ぎてからはチャイルドシートに乗った経験がない世代も多いのではないかと思います。
さすが、世界で初めて3点式シートベルトを作ったボルボなだけありますね!


▲日差し除けに網戸(?)も付いています。吸盤付きのをペタっと貼る必要もありません


▲後席はストラップを引っ張れば瞬時にフラット状態に

そのままでも十分に広いトランクですが、後席を倒せばかなりのスペースが発生。


▲トランク床のフタを開ければ、さらなる収納スペースが…。スペアタイヤは、このさらに1段下!もはや3階建てですよ(笑)


▲懐かしのCDたくさん入るやつ!!(正しくはCDチェンジャーと言います笑)。家庭用オーディオでも昔流行った世代の方、多いのでは?クルマ用は、こういう風にトランクにあることがほとんどでした。その上に見えるのは純正工具セットのケース


▲ちなみにインパネ部のオーディオは…やはり当時のまま!いにしえのカセットテープ!たぶん、この直後から世の中はMDにシフトしていったんでしたっけ…

生方さんご自身も、こんなに使い勝手が良いと、他のクルマなんて考えられないとおっしゃっておりました。確かにこれはスゴイです…住めちゃいそうです!(実際キャンプも可能だそうで、ボルボ純正アクセサリのタープもお持ちです)


▲さっと引くだけで荷物を覆えるカバー

エステート(ワゴンタイプ)の中には秘密の3列目が備わるモデルもあるらしく、その場合こトランクの床下収納(?)に、折り畳み式の2人掛けシートが

ちなみに、ボルボというと何となく後部座席の後ろの“檻”もイメージの1つだったのですが…あれは犬用ですか?

「あれはまだ親父が乗っていたころ、部品が緩くなりばーんと落下してしまったので、保存はしてありますが以後そのままです。犬用でもいいですし、荷物をヘッドレストより高く積んだとき、前になだれ込まないためにもあるんです」


▲外装においては、ヘッドライトからテールランプまでを繋ぐ、ゴールドのラインがクラシックの証


▲ボルボ特有の側面衝撃吸収システム、SIPS(Side Impact Protection Systemの略)のロゴ


▲譲り受けてから装着した生方さんこだわりパーツ、インテーク部分のスノーキャップ。もちろん純正品


▲このウィングもいいアクセントになっていてお気に入りだそう


▲安全性には整備性も大切ですね!なんとボンネットは、2段階調整で最大90°まで持ちあがります!!(ただしスノーキャップ装着車だと干渉するので、開閉時は優しく…)


▲一度だけ、走行中にオルタネーターが死んでしまって以後、配線類をリニューアルしたとのこと。現在では運転席に電圧計を装着し、46万kmを超えてもなお、それ以外の大きなトラブルはないようです

「古い=壊れるってよく言われますけど、ちゃんとした整備をしていれば元気に走ります。年式もそうだし、どこでも見てもらえるわけではないので…。ちゃんとした専門店を見つけるのが大事です。今お世話になっているショップは70年も経営している老舗で、正規ディーラーでありながら240などの古いモデルも販売しています。並べられた中古車はいつも洗車されているし、社長のクルマもすごいキレイなんですよ。車検も通常15万くらいで、別にイマドキのクルマとほとんど変わりません。下道で1時間半くらいかかるけど、ドライブがてら歌うたってればすぐですし(笑)。若い若いって言われて、かわいがってもらえてもいるので、今後もお付き合いしていきたいです」

ちょっと珍しいクルマや、古いクルマだと、確かに主治医さんの存在がキーポイントですよね。そしてそれはなかなか近場にはないことも…。

しかしそんなことは全く苦にならないと話す生方さん。いつも状態のいい中古車が売られているほかにも、信頼を寄せている点があるのだとか。

「結構ショップって、お店によりますけど預かりますねってなったあと、納期が分からないこと多くないですか?でも、主治医のお店はいつでもパーツが揃っているみたいで、ハッキリこれは日帰り、これなら一泊二日って言ってくれるんです」

これは嬉しいですね!趣味用だけで、のんびり待てるならば別ですが、生方さんのように日常の足として走らせるとなると、納期が明確なのは実にありがたいことでしょう。

オルタの他、ちょっとずつメンテナンスをしていく中でも、わかる人にはわかってもらえるというのがヘッドライトのレストア。


▲内部の反射鏡が曇っていたので塗装をお直し。新車同様にピカピカです!

「知らない人が見ると『ふーん』てなりますけど、ボルボ940に乗ってる人は『あれっこれどうしたの?』って気付いてくれるんです!」

また取材中、全幅制限のポールが設置されている箇所を通過しなければならなかったのですが、さすがは幼少期から慣れ親しんでいる生方さん。

5ナンバーや軽自動車ですら諦めて引き返す中、パッと見ただけで「通れます!」と即答。車幅感覚は、もうすでに助手席時代から培われていたのかもしれません。


▲タイヤの空気圧やサイズを示すステッカーも、親しみやすい表記がされています


■若さゆえに夢いっぱい!生方さんの探求心




前々項でお伺いしたように、今ではたくさんのクルマ友達に囲まれている生方さん。

ご友人所有のクルマにも、いろいろ気になる存在が多いのだそう。

「ボルボ940は生まれたときから当たり前すぎて新車って気分なので…最近は60年代とか、もっと古いクルマにも魅力を感じます。あと、今乗っているボルボもそうですが、カクっとしたデザインが好きです。エボII(190E)もそうですし、S560やW124(すべてメルセデス・ベンツ)とか…。中でもキャラットとかケーニッヒとか、そういう系のエアロ付いてるのいいですね。ノーマルなクルマに乗っているので、ちょっとイカついのも欲しいなーって」

インタビュー事前にLINEでやり取りをした際も、やはりエボIIの名前は挙がっていました。同時にボルボ・P1800Eや440なども気になるとお話していましたが、あくまで“そのとき”のリストだったそう。

「プジョー・106とか「ちっちゃいクルマなのに安定感もあってなに?!って思ったんですよ。プジョー・205もブーーンブーーーンて!『おおぉ〜〜』みたいな(笑)。結構そういう系も乗せてもらったりして、楽しかったです!!古いのはみんな好き…うまく言えないですけど、美しさを感じますね。昔のクルマって良い皮使ったり、木を使ったり、丁寧に造られていますよね。たとえば、昔のシートがフカフカだったりすると『なにこれ〜!!』って嬉しくなりますけど、今のクルマだと別にって思っちゃいます」

基本的にはご自身のボルボ940を軸に、四角いルックスを好むものの、新しい発見があるたびに、次から次へといろんな旧車が気になってしまうご様子。

守備範囲以外のクルマでも、実際に乗ってよさを見つけられる、その積極性が素敵です。

クルマ談義となると身振り手振りも加わって、表現も非常に豊かな生方さん。その明るいキャラクターゆえに、クルマ友達も「この人ともっと話したい!一緒に出かけたい!」と感じるのだと確信しました。

■オドが一周する瞬間が待ち遠しい!これからもボルボ940とともに末永く!




様々な経験を重ねていくうちに、たくさんの“気になるクルマ”に出逢う生方さん。
ですが、もし仮に新しいクルマを購入することがあったとしても、ボルボ940は絶対に手放さないといいます。

正確には、増車は機会や予算に恵まれればあり得なくもない話だけれど、“ボルボ940と入れ替えるクルマ”はみじんも欲しくないとのこと。

「手放すときは死ぬときです!」

そう断言する生方さん。生まれたときから一緒だったボルボ940は、かけがえのない存在なのです。


▲あくまでこの個体でなければ、彼のパートナーとはなり得ません

クルマへの愛着について、生方さんはこうも語りました。

「もしボルボ940に乗っていなくて、足代わりに『軽でよくない?』と思って手頃なクルマを買ったとしても、絶対愛着がわいてしまうだろうから手放せなくなると思うんです。今のボルボ940も走行距離が多くてお金にはなりませんし、部品取りになってしまうだけ…そんなの耐えられません。もし自分がお金に困っても、節約するなりなんなり、いくらでも捻出方法を模索して、絶対に手放しません!!」

クルマをどう捉えるかは、いわゆる“クルマ好き”の中でも意見が異なるケースが多いでしょう。生方さんが感じる“愛着”は、ヒナ鳥の刷り込みだけでなく、彼自身の思いやりの面がより強く出ているのかもしれません。

インタビューの最中も、生方さんの他人やクルマに対する誠実性を垣間見る瞬間が、幾度もありました。
そんな彼とともに過ごすボルボ940は、もしかしたらこの世に現存するボルボ940の中で、一番幸せなボルボ940なのでは…とすら思えてしまうほど。

まだまだ21才という若さではありながら、最期まで人生をともにする決意を表した生方さん。
今後は、オドメーターが一周する瞬間をその目で見るのが夢とのこと!
お父さまが約43万km、生方さんが約3万km…23年目にして、現在46万7千kmちょっとを走ってきたわけですから、これは間違いなく生方さんが“ナイスミドル”になるころまでに叶うはず。

生方さん、今回はたくさんのお話をお聞かせいただきありがとうございました!
ぜひ、オドが一周した瞬間の感動を教えてくださいねっ!

■オーナープロフィール



お名前:生方 紀広さん
年齢:21才
職業:自衛官
愛車:ボルボ940エステート・クラシック(1997年式)
ミッション:4速AT


▲愛車のキーはいつも首からぶら下げているそうです




[ライター・カメラ/細谷 明日葉]