「安仁屋宗八傳・沖縄の星13」勝ちを意識した沖縄高(後編)

 【安仁屋宗八傳13】(後編)

 先制打の梶野は原爆投下の日、爆風によって両耳の鼓膜を失っている。その後手術で左耳がかすかに聞こえるようになったが、ベンチに帰ると、山本に話しかけた。

 「聞こえたよ!(歓声が)聞こえた」。右翼を守っていた。

 沖縄高への声援がヒートアップしたのは六回裏だ。太鼓、指笛、カチャーシー、空手の演武、そしてアンガマ…沖縄らしい派手な応援だ。「ウォー」という雄たけびも上がる。

 阿波連、宇栄原の連続安打で一、三塁。当間のバントが野選となり満塁。城間が右前に落とした。続く粟国は死球で2点目だ。

 広陵高ベンチは柳楽から島谷にスイッチすると、安仁屋が内野安打して3点目。比屋定とのスクイズは失敗し、三塁走者・城間が三本間で挟殺された。

 大歓声。ベンチの上原正光監督は仁王立ちだ。

 比屋定の中前打で再び満塁。新崎の三ゴロでバックホームからの併殺を焦った捕手が一塁へ悪送球、安仁屋が同点の本塁を踏んだ。

 大歓声は続く。隣の人と会話できない。

 この時、沖縄高ナインは全員がこう思った。「このゲーム、勝てる」

 だが、山本はこう言うばかりだ。

 「同点になったの?覚えていない。われわれが勝ったのは覚えているけどね」

 美空ひばりの名曲「柔」の歌詞は勝負の機微を教えている。=敬称略=

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