「安仁屋宗八傳・沖縄の星17」父の胸打った“片言の日本語”(後編)

 【安仁屋宗八傳17】(後編)

 平山は外野手兼スカウトで、カリフォルニア州出身の日系2世だ。常にパスポートを持っている。他球団はマネができない。

 安仁屋サイドの窓口は父宗英である。平山は2度、沖縄に来た。1度目で、「内地で勝負してみたい」との感触をつかんだ。

 あとは平山の独壇場だ。8月23日、2度目の会談。契約条件と同時に、「プロの厳しさ」を隠すことなく、懇々と説いた。

 宗英の胸に、片言の日本語がしみた。実直な人柄が伝わる。米国から来日し、慣れない生活に苦労しながらプレーをしている。その平山に、沖縄から本土に送り出すことになりそうな息子を重ね合わせたのだ。

 それでも宗英は揺れた。琉煙は来年の都市対抗出場が悲願で、安仁屋は手放せない。

 思いあまって、宗八の恩師である、沖縄高野球部監督・上里高光を訪ねた。

 「相手が来なさいというのなら、すぐに行かせなさい」

 これで決まった。

 安仁屋はこのころ、「カープの勉強」の真っ最中だ。「広島の選手は顔も名前も全く知らない。巨人ファンだし、まだ西鉄になじみがあった。野球雑誌を読みまくったな」

 だが、確かな思いもあった。「このチームなら試合に出ることができる」。当時の広島は5位か6位が指定席だった。

 安仁屋が手を振るタラップの傍らに宗英がいる。=敬称略=

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