「安仁屋宗八傳・沖縄の星20」豊田に浴びた“お返しの洗礼”(前編)

「安仁屋宗八傳・沖縄の星20」豊田に浴びた“お返しの洗礼”(前編)

 【安仁屋宗八傳20】(前編)

 東京・荒川区南千住は下町である。かつてこの地に「東京スタジアム」と呼ばれる球場があった。

 大毎(現ロッテ)の本拠地で名物オーナー・永田雅一が造った、当時としては最新式で通称「東京球場」。

 ただ、この球場は左翼ポールから中堅、右翼ポールから中堅と膨らみがない。まるで一直線の外野塀で、別名は「ホームラン量産球場」である。

 安仁屋宗八の公式戦デビューはこの球場で、1964年5月31日の対国鉄戦だった。ダブルヘッダー2試合目である。通告は前夜だった。投げ合うのは国鉄の大エース・金田正一だ。

 昨年、琉球煙草から入団。同年45試合、この日の第2試合で今季56試合目。100試合の研修明けだった。

 大エースを相手に白星とくれば、格好いいが、さすがに漫画のようにはいかない。六回途中降板だった。

 KOの立役者は豊田泰光だった。安仁屋は2月22日のオープン戦で豊田から三振を奪って名を上げたが、豊田はさすが、野武士軍団・西鉄の主力を担った男だ。お返しの機会を待っていた。

 立ち上がり。一塁に走者を置き、右中間へまずは先制の二塁打を放った。

 それでも新人らしいキビキビした投球を見せた。速球に外角へ切れのいいスライダー、内角へシュートを投げ分けてしのいだ。

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