「知将・上田利治15」米から緊急帰国(後編)

 【気骨で生きる〜知将・上田利治15】(後編)

 選手はキョトンとしている。会場を見渡して西本は「私についてこれる者は○を、ついてこれないと思う者は×を書け」と言った。

 世に知られた「監督信任投票」である。

 −昨今のチーム状況の悪さは、俺の存在が原因なのか。お前ら選手の怠慢が原因なのか。今日、決着をつけようじゃないか−。

 西本が対決を売ったのである。長いプロ野球の歴史で前代未聞の「選挙」。×が1票でもあれば「辞める」と西本の腹は決まっている。

 開票すれば×が7、白紙が4。西本はその場から消えた。

 「辞める」という西本の決意を知り、オーナーの小林米三が会いに来た。

 「君がそこまで思い詰めているとは知らなかった。私を許してくれ。私はいいオーナーになりたい。そのためには私はどうすればよいのか」

 そう言うと、西本の目をじっと見た。

 歌舞伎の芝居なら、ここで客席はハンカチで目を隠す場面である。

 実際、西本は落涙した。その事実がメディアに記され、今に残っている。=敬称略=

※2016年5月〜同8月にデイリースポーツ紙面にて連載されたものです


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