ミスタータイガース・村山実(中編)

 京の太秦では“眠狂四郎”を作っていた。雷蔵はむろん主役である。ムッときたが一理はある。

 帰りの乗用車の中で−。

 「偉そうに言うとったな。けど一回やってみるか!」

 「映画なんて所詮作り物、こちらは一球入魂の世界やからなぁ」

 長嶋が陽気ならこちらは“黙って勝負”といこう。これだ、役どころは決まった。それまでの村山は帽子をアミダに被っていた。その方が、いたずらのガキ大将臭かった。しかしプロ野球では通用しない。

 「村山クン、投げ終わった後、ベンチへゆっくり、ゆっくり歩いて帰ったらどう?」

 そして、なだれ込むような姿でベンチへたどり着く。眠狂四郎が剣先に神経を集中して、ジワリと敵を追い詰めていくあの図。これがまんまと当たった。阪神ファンは心酔し、スタンドの女性は涙した。

 エースの周辺に悲壮感が漂った。いや漂わせるためのパフォーマンスであった。

 あの頃の巨人はとにかく強かった。阪神がいつも後塵を拝していたから満身創痍のエースをより際立たせたのかも知れぬ。

 村山は徹底して長嶋に歯向かった。監督の藤本がよくこぼしていた。

 「ムラは、こと長嶋の対戦でベンチの指示を聞かなかった。歩かして次で勝負しろ、と言っても投げさせてくれと言う。それで打たれるのだから世話はない」※(後編)に続く



【1950年代】村山実

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